道化 ページ33
確かこの島で彼と別れた
あの別れた時と随分変わって、暖かくなった
人がちらほら住んでいる
なかなか探し回るのにも困難だ
雪はもう解けてしまっているし、目印には花をちょこんと添えただけだ
もう無くなっているかもしれない
形など残っていないかもしれない
それでも…
『ここら辺のはずなのに、わからない、どうしよう、土に埋まっちゃったのかな…鴉につつかれたのかな…』
｢あの…｣
『何、あたし今忙しいの』
｢なにかお探しですか、俺も探しますよ｣
『いらない、余計なお世話』
肩を叩かれるがその手を払い除けるA
声をかけられた背後も振り向かない
｢いや、困っているのなら俺も探…うわ!!｣
『ちょっと、なに…』
何も無かったはずなのにコケて隣に滑り込んできたのは、見覚えのある顔
Aも彼も顔を見合わせて驚く
｢『ロシー!?/A!?』｣
『あ、ロ、ロシー…？ホントに？』
｢ああ、信じられないかもしれないけど、凍ってた所を春が来て溶かしてくれたんだ!!その時には傷が戻ってて。ほら！もう元通りだ!!｣
『嘘だ、そんな御伽噺みたいな、夢みたいな…』
傷は完治しているようではなかったが、塞がったはいた
Aはどんと胸を張るロシーを見て、泣きながら震えていた
そんなことあるのか
神様、ああ……
｢本当なんだよ、夢だけど夢じゃないんだ｣
『…っうわぁぁ！会いだがっだぁぁぁ』
｢俺もだ、A｣
ロシーは飛びついてきたAを片手でそっと支える
『そうだ、あたしすぐに行かないと』
｢どこへ？｣
『ドレスローザよ』
｢ドレスローザ!?また、なんで…ドフィが国王だぞ!?｣
『ああ、だからだ。止めないと。色々、厄介なことが起こってるみたい。あっちで合流する人たちがいるの。面白そうだし。早く行かないとだから！』
｢あ、おい、A！｣
面白そうとAが小さく呟いたのは聞き逃さなかった
『あ、あと、コラさんはドレスローザに来たらダメよ、ドフィに見つかったら今度こそ殺される！じゃあね！』
｢行っちまった…｣
ロシーの呼び止める声も聞かず、Aは飛び立った
積もる話もあったろうに
｢Aは来るなと言ったけど…うぅん…行こう｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 147人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽ | 作成日時：2021年8月16日 18時
