吸血姫と呼ばれた少女II【ワンピース】 (ページ4)

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神様ページ4

『ここまで来れば安心…かな』

｢本当ですか？｣

『うわ、まだいたの』

Aは子供の扱いが苦手だ

ローたちは大丈夫だったが、男まみれの生活の中でどうしても子供を受け付けなくなってしまった

『はぁ…家はどこ？送るから』

Aはどかっと座り、あぐらをかき、膝に肘をついて周りに集まった少年少女をじろりと見る

彼らは俯き、目を泳がせる

『何』

｢分からない｣｢知らないの｣｢彼処で生まれた｣

驚いたことに、彼らは誰も自分の故郷を知らなかった
親も、家も知らないのだという

『どうしよう、か…』

｢あの、海賊なんですよね？｣

『そうだけど』

｢私も、海賊に『だめ』

一人の少女の高揚した声にピシャリと拒否するA

『いや、無理だ。海賊がどんなものか、君たちは知らない。分かっていないんだ。一言で言えば嫌われ者だ。世界の大半の奴らは海賊を嫌ってる』

そうだ
Aもその1人だったのだから

｢あなたは海賊だけど、嫌われてないはずです！｣
｢とても綺麗だもの｣｢優しいし｣

少年少女たちは口々にAを褒める

『褒めても何も出ません』

｢私たち、決めていたの｣
｢もし、もしも神様がいて、僕達に救いの手を差し伸べてくださったら｣｢その人について行こうって｣
｢その人が例え、海賊でも、海軍でも、なんでも｣
｢あなたは神様が遣わした天使なのです｣
｢私達はただ救ってくれた天使様に着いていきたいから！｣｢あなたに着いていきたい…怖くない、から…｣

少年少女達は捕まっていた時から祈っていたそうだ

"神"という存在に

ほぼ光の世界へ戻れることは無いと、彼らは踏んでいたそうだが、Aに出会った

彼らの意見を尊重し、悩み、Aは口を開く

『神など存在しない、そんな者がいればとうの昔に君たちは救われているはずだ…そうだろう？…はぁ…本当に、海賊になる覚悟はあるの？』
｢｢はい！｣｣
『やめるなら、今のうちよ。どうする、なるの？』
｢｢はい！｣｣

その時、ふっと笑いが漏れてしまった

あまりにも真剣に、大きな返事をする彼らが可愛くて面白かった

初めて見るAの笑顔に子供たちは嬉しくなった

こんなに可愛らしく笑う人がいるのだ、と
自分たちを救ってくれた女神だ、と

『吸血鬼なんだけどね』
「え」