吸血姫と呼ばれた少女II【ワンピース】 (ページ22)

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黒足ページ22

『サンジ腹へったよぉ』

｢Aちゃん!いいよ、とびきり美味しいのを用意するから、待っててね｣

cooking

｢はい、おまたせ｣

『いただきまぁす！ん～まぁぁぁ！…バラティエ』

｢バラティエ、?!｣

『あ、声に出てた…？ずぅっと前に行ったの。そこで食べたオムライス美味しくて！金髪の小さな少年がいたの、きっともう1人前ね』

オムライスから目を離さずに口いっぱいに
頬張りながら思い出に浸るA

バラティエに来た少女…
金髪の少年…
おもいだした!!!!!!

｢あの時、オーナーに大声で味を伝えた、赤い髪の美しい人?!｣

『叫んだよ』

｢走って出ていった?!｣

『海軍来たんだもん』

｢また会いたいと思ってた…なんで気づかなかったんだ、俺は…｣

『…あー美味しかった！ご馳走様！』

手をパンっと揃えて空になった皿に
お辞儀をするAちゃん

ワノ国はこうやって感謝するんだよーとニコニコの笑顔で教えてくれる、天使

俺は、クソじ…ゼフの味に近づいてるのだろうか

片付けようと皿に手をかけながら考える

キッチンから出ていこうと、ドアに手をかけたAちゃんが急に立ちどまり、あっ!と言い、くるっと振り返った

『あたしさぁ、料理の味とか詳しくわかんないけど、
バラティエのこと思い出したってことは、きっと同じ味なんだよね!』

人を幸せにする味！と言ってにししっと笑うA

太陽に照らされる女神のようだ

｢新作、試食してみない？｣

そう言うと、Aはパアッと笑顔になり、わーいっとぴょんぴょん飛び跳ねる

『これからいっぱいサンジくんのご飯食べられると思うと、幸せ…！みんなはもっと前から食べてるんだよね、ずるい』

後ろで腕を組み、肩を竦めて笑い、頬をふくらませるA

いちいち大きく動くもんだから、可笑しくて笑ってしまう

『ねえ、サッチって知ってる!?白ひげ海賊団のやつでさ！あのフランスパンの作るのもピカイチなの！大家族みんなで食べるのが、楽しかったなぁ…』

途端に顔が曇る

｢…俺たちはみんな揃って食べる｣

『え…？』

｢寂しくなんかない｣

優しく微笑むと、涙を浮かべているけど嬉しそうな太陽のような笑顔を見せてくれた

必ず麦わらの一味はみんな揃って食べる
これはAのためでもあった