握手 ページ15
『ん、ンン…ここは、どこ？』
｢Aちゃん、おはよう。ここは革命軍の本部｣
『そう…アンタは？』
｢私はコアラ。コアラでいいよ、よろしくね｣
茶髪の少女はニコッと微笑む
『よろしく、看病してくれたのか？ありがとう。あたしのことは…知ってるみたいだな』
｢ええ。知らない人はいないわ｣
ｺﾝｺﾝ｢コアラ、Aさん、起きてるか？｣
革命軍の人だろう
外からハッキリとした男の声が聞こえる
｢今、目を覚ましたよ｣
｢入っても？｣
｢Aちゃん、いい？｣
『かまわないよ、どうぞ入って』
扉が開き、金髪のウェーブがかかった髪に、シルクハットの帽子を深くかぶった青年が入ってきた
｢…Aさん？怪我は、大丈夫か？｣
『ああ、お陰様で。ありがとう。あたしのことはAでいい。君の名前は？』
｢…言えねぇ｣
『何故』
｢言ったら、Aさn、Aは、俺を殺しにかかるだろうから｣
『あたしをなんだと思ってる？取って食うわけでもないのに。いいから、言って？』
軽く眉間に皺を寄せて笑うA
帽子をとって、躊躇っていた青年は決意したようにキッと顔を上げる
｢………革命軍参謀総長、サボ。…俺は、サボだ｣
『…は？死んだんじゃ』
Aの顔から笑顔が消え、サーッと血の気が引いていく
ただでさえ白い顔がもっと青白くなる
｢…いや。…すまねえ。俺、記憶喪失になってて、ルフィやエース達のことなんにも覚えてなくて、エースが死んだって知って、思い出して｣
『巫山戯んなよ！エースは、サボくんのこと、死んだと思って…！なんで来てくれなかったんだよ！エースは…！』
｢Aちゃん落ち着いて!｣
怪我をした体のことなど忘れ、立ち上がり、震える手でサボの胸ぐらを掴んで叫ぶAをコアラが止める
『ッ…ごめん。まだ気持ちの整理がつかなくて、取り乱してしまった。サボくんは悪くないのに』
｢い、いや、おれが、もっと早くに思い出してれば、もっと違ったかもしれない…｣
『…こんな暗い顔してちゃ、親父やエースが怒るよな。ごめんね』
パチンっと両手で顔を叩き、眉を下げてすまなそうに微笑み、右手を差し出すA
その手を握るのを渋るサボ
だが、"握手知らねぇの？"と聞くAは怒っていないようで、笑顔でその手を握った
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作者名：ぽ | 作成日時：2021年8月16日 18時
