吸血姫と呼ばれた少女【ワンピース】 (ページ48)

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涙雨ページ48

｢みんな集まってくれよい｣

マルコの掛け声でみんなが甲板に集まる

｢お前たちには今日話がある。A｣

『？』

Aはなぜ呼ばれたのか分からなかったが、親父のいる所まで歩いていった

歩く時、群がっていたみんなが避け道を作る

エースが空気を読まずに避けないので、マルコが猫を扱うかのように首根っこを掴んで引き寄せる

『あぁ…！えぇと、この船降ります！まだだけど、今までありがとうございました！』

｢｢｢｢｢・・・はァァァァァ？！？！？！｣｣｣｣｣

津波が起きそうなくらいに揺れるみんなの驚く声

滝のように顔から出るものを全て出す者
失神して泡を吹いて倒れる者
冗談だと思って談笑を始める者
驚きで固まり放心状態になる者

などなど反応は様々だった

｢な、なあ、お嬢、本気なのか？｣
｢僕たちが嫌いになったの?｣

みんなが冷や汗をかきながら苦笑いで話しかける

『本気だよ？この船のみんなが嫌いになったとかじゃないの。ただ…やりたいことがあって』

Aはいつもの飄々とした調子ではなく、真面目な顔付きでそう言うものだから、みんな落ち着きを取り戻して真剣に聞き始める

『恥ずかしくて、何がとは言えないけど…きっと、偽善者だって言われるから…それに、ここを出て新しい自分を探してみたい。私は弱くて、今まで迷惑をかけてきた…だけどやらなきゃいけないの！みんなと別れるのは寂しいし不安もある…でも、きっとすぐ戻ってくる！…待っていてくれる？』

｢｢｢｢｢もちろんだ!!!｣｣｣｣｣

Aは人前で泣くことは少ないがやはり泣いてしまった

幸せをくれた人たちと別れる

甲板に出ていた者達も皆泣いた

たった一人の可愛い妹がいなくなるのだ

泣かないものが居るはずがない

親父も泣いた

愛する娘の自立に

｢Aが嫁に行くなんて言ったらどんな反応するんだろうねぃ、ここの連中は｣

そんな風に悠長に言うマルコも泣かないと決めていたが、感情には負けて涙を流してしまった

『あたし、愛されてるんだわ…』

その日はAの決意を祝う宴が開かれた