魔法 ページ42
森は鬱蒼としていたが、Aが近くに行くと倒れている木々が道を開けてくれる
まるで魔法だ
その光景を不思議に思う
そよそよと風が囁き、鳥が歌い、木々が話しかけてくる
Aを歓迎してくれているようだ
そんな恐ろしく不可思議な現象なのに、どこか懐かしく感じる
そうしてたどり着いた先は広場
『ああ…私の国』
思わず零れた一言と共に一筋の涙が頬を伝った
懐かしい
思い出した
この広場は
まだ残っている家や建物は蔓植物で覆われていた
キョロキョロ見回すと、地面には血痕や、かつて人だったものが転がっている
骨になったそれらは、ボロボロの服だけを身にまとっている
そんなに時が経ったのか
人が骨になるには相当の月日が必要なはずだ
Aは眉をひそめて目を閉じ、手を合わせて弔いを捧げた
痛ましい光景が悪夢のよう
目を背けることは出来ないこの真実
これがAの国
Aが旅立った後、きっとここでは内戦があったのだろう
きっと、自分の意思ではないのに彼らは戦ったのだ
悲しくなった
誰も悪くないのに…
悪いのはただあいつ1人なのに…
とぼとぼと歩いていくと懐かしい門、城が見えた
その城はボロボロになっていたが、心を決めて入り、書庫へ向かう
道中には瓦礫が沢山あり、歩きにくい
自分のことが分かるかもしれない、と思い、早足で先を急いだ
図書館にはたくさんの本たち
Aが背伸びしても届かない
飛ばなければ取れないほどの本たち
この中から見つけるのはかなりの困難だと思い、落胆するが先に光るものを見つけた
そこへ走って駆け寄った
輝く本は辞典くらいの厚さだがAは読み入った
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
まだ続いてます
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作者名：ぽ | 作成日時：2021年7月13日 0時
