吸血姫と呼ばれた少女【ワンピース】 (ページ40)

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幻聴ページ40

今日は霧が濃い

まだ朝の4時くらいなのに珍しく目が覚めてしまったAは甲板に出て、静かな朝の海を眺めて伸びをする

『また聞こえる…いつもより近い…あーもう！なんなのよ！』

Aは船の柵をダンっと殴った

そんなAをふふ、と笑いながら近づく男がいた

｢おはよう、お嬢。朝から元気だな、よく眠れたか？｣

Aは睨むような上目遣いで男を見やる

本当に整った顔の男だ
初めて見た時は女かとも思ったが、よく見るとがっしりとした男の体型をしている

『おはよ、イゾウ。ああ、よく眠れ…ッ!?』

頭に激痛が走り、その場に座り込むA

｢A…！大丈夫か？｣

『ｯ!?ﾊｧ､ﾊｧ…だ、大丈夫、大丈夫だよ』

イゾウが差し出した手を掴み、何とか立ち上がり、霞む目で海の先を見ると島が見えた

その島への感覚に鳥肌が立ち、どっと冷や汗が出た

いてもたってもいられなくなったAは海に向かって飛び立った

｢A!!!どこ行くんだ!!!｣

Aが向かう先にはひとつの島があった

なにかの感が働いたのか、分からないけれどあの島に行かなければならない気がした

着いた島の印象は廃墟になったおとぎの国

一方、イゾウはマルコにAのことを言うと、皆呼び出され、甲板にでてきた

先に行ってしまったAを追い、見つけた島の岸に船をつける

Aが浜辺から少し離れた森の手前に立っていた

｢｢｢｢A…！｣｣｣｣

｢待て｣

皆が少し遠くにいるAをめがけて船を出ていこうとするが白ひげが止める

｢でも親父！｣

白ひげの見つめる先のAと向かい側には

消え入りそうな透明感のある白さの女性が立っている

遠くからはよく見えないものの、どことなくAと面影が似ている

そしてAはというと、艷めく髪をなびかせて、輝く鉾を持ち女性の前に立っている

いつものラフな格好とは違い、おとぎ話のプリンセスのような美しいドレスを身にまとったAは見違えるように美しかった

手を取り合ったかと思うとこちらを見て何か話している

あんなに無邪気で子供っぽいAは見たことがない

確かにいつも純粋無垢で無邪気な可愛らしい少女だが、親に甘えるような、あの姿

嬉しそうな笑顔に、こちらも嬉しくなってしまう

人を幸せにする天才なのだ、あの子は