吸血姫と呼ばれた少女【ワンピース】 (ページ4)

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粛清ページ4

｢子供たちを守るのよ！｣
｢人殺し！吸血鬼め！｣
｢｢｢吸血鬼に粛清を!!!欺瞞に断罪を!!!｣｣｣

書斎にて読んでいた本をパタンと閉じて、外の喧騒に眉を顰める母

｢どうしたのかしら、街が騒がしい…｣

守衛が負かされ、門が開け放たれた

そこには武器を持った街の人たちがいた

｢『…!!』｣

Aは不安で母を見た
どこからともなく取りだした矛のような武器を手に持つ母はピリっとした空気で包まれていた

｢おかしいわ…｣

『お、母様…？』

母のいつもと違う姿に戸惑うA
母はAに目線を合わせるようにしゃがみ、肩をに手を置いた

｢A。よく聞きなさい。
私と離れても笑顔で人に優しく過ごしなさい。
あなたは私の、私たちの天使なのですから。
ドラキュラの名前に誇りを持ち、生きなさい。
私たちの間に生まれてきてくれてありがとう。
私の愛しい子、愛してる｣

一通り言い終えたあと、息をついて目に涙をたっぷり貯めた母が、Aを抱きしめる

『私も、愛してる…！』

Aと母親の別れも束の間

街の人達の足音とともに扉が開け放たれた

何故かみんなの目はいつもと違った

あの優しい目はどこへいったのだ

｢いたぞ！｣
｢殺せ！｣
｢逃がすな！｣

恐ろしい顔で迫ってくる街の人達

母は将軍に命じた
"Aを連れていけ"と

｢A、飛んで逃げなさい！あなたなら出来るわ！｣

｢A様、行きましょう…失礼します｣

無理に笑顔を作ったお母様と悔しそうな将軍
将軍はAを抱き抱えて走った

『おがあざまぁぁあ!!!』

将軍に抱かれひとしきり走った先は崖だった
母を呼ぶAの叫び声は枯れて、嗚咽だけが漏れていた

『う、ああ…あ』

｢A様、ここからは1人でお逃げ下さい。これからは貴方様の自由な人生。私めはこの世からいなくなっても、貴方様をお守り致します。ここに、忠誠を誓います…さあ、逃げるのです…申し訳ありません、A様｣

硬い顔の将軍は泣きながらAをつき飛ばした

『いや、将軍！やだ！行かないでっ…いやあああ!!!』

落下しながら慌てて羽を出せた
海のスレスレで飛び立つ

Aはもう後ろを振り返らなかった

水平線の先へ飛んだ

将軍は見送ると、Aの母の元へ走った

その後のことはAは知らない