吸血姫と呼ばれた少女【ワンピース】 (ページ29)

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救出ページ29

｢お、おい！人だ！人がいる！｣

広い海をゆく真っ白な大きな船から一人の男が叫んだ

｢なんだ？｣｢ヒトデ？｣｢助けろ！｣｢誰か泳げるやつ！｣｢大丈夫か！｣｢俺が行く！｣

海に飛び込み、戻ってきた男が抱えていたのは10代ほどの少女

目を瞑り、ぐったりとしているが、とても可愛らしく可憐であった

宝石のように輝く艶やかな髪、長いまつ毛、透き通った陶器のような肌

まるでセイレーンのようだ

船員たちは息を飲み、その少女を囲んで見た

｢おい、生きてるか？｣
｢聞こえてる？おーい｣

ペチペチと少女の頬を叩く

『ｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯ、！』

少女は咳き込みながら水を吐いた

『頭が…』

と頭を抑えながらゆっくりと起き上がる

とろんとした目がまん丸く見開かれ、口を開いた

『まだ殺り足りねえのか…!?』

男たちを見るととろんとした目が殺気立った
少女は鉾を振り回して暴れだし、男たちは、一歩怖気付いた

だが急に少女はその場にヘナヘナと座り込んだ

『お腹空いた…闘えない…も、いいよ…』

と言って、俯いてしまった

｢おい、飯！｣｢お、そうだな！｣｢嬢ちゃん、少し待っててくれ。うちのが美味いもん作ってくれっからよ｣

優しく肩に手をぽんと置こうとする男

『うっせぇ、触んな！』
｢ぴえぇ、おっかねえ｣

Aは顔を上げ、ｷｯと睨み、手を跳ね除けた

｢へいよ、コックの特製オムライスだ｣

直ぐに男が3人係でオムライスを盛り付けた皿を持ってきた

｢｢｢でけえよ！！｣｣｣｢ちっとは考えろよぃ…｣
『…いらねぇ』

ふぃ、とそっぽ向く子犬のように座り込んだ少女

｢腹、減ってんだろ？｣

『…いただきます』

少し唸って悩むと、少女は礼儀正しく手を合わせて食べ始めた

すると、ポロポロと大粒の涙がこぼれてきた

｢お、おい、どうしたんだよ!?｣
『おいし…』

少女はペロリとオムライスを完食した

｢あの量、食い切った…｣｢ただもんじゃねえな｣

男たちは感心していた
拍手してる者もいる

『よっし、おなかいっぱいになったことだし、全員死ね！』

｢｢｢｢えええええええええ？？？！！！｣｣｣｣

『あ、れ？』

バタッ

｢｢｢｢｢気絶したぁぁ？！｣｣｣｣｣
｢おい、おい、大丈夫か？｣｢船医～！！｣「忙しい子だね」