吸血姫と呼ばれた少女【ワンピース】 (ページ14)

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恩人ページ14

海軍から逃げたあと見知らぬ島に到着した

海軍がちらほら見えるので、帽子とマントを買った

帽子を深く被り、マントは口元が隠れるまで巻き付けた

｢おい、あっちだ！｣｢悪魔の子だ！｣

悪魔という言葉に自分のことかと思い、ビクッと肩が動くが、Aは悪魔ではない

誰か他に追われているのだ

歩いていると路地裏から気配を感じ、Aはそちらの方へ歩いて行った

『おい』

｢ご、ごめんなさい…!!殺さないで!!｣

薄暗くてあまり見えないが、目の前で頭を抑えて蹲るのは小さな少女だ

声掛けで怖がらせてしまったようだった

『あ、ごめんね…あたしの言い方が悪かったな』

少女の目の高さに合わせてしゃがむA

｢あなたは海軍？｣

『元、ね。今は違う』

｢私を、匿ってくれませんか…？｣

少女は手を合わせて懇願してくるが、Aは困ったように眉を下げマントを下にずらした

『…ごめんね、あたしここの島の住民じゃないし、海軍に追われてる身なのよ』

｢あなたも？｣

『あなたもなの？』

2人はお互いの顔をまじまじと見つめた

｢私を知りませんか？悪魔の子って…｣

『ああ、海軍が探し回ってる子ね。あたしはA。ドラキュラ・D・Aよ』

｢私はロビンって言います｣

『匿うことは出来ないけど、海軍が去るまで一緒にいましょう。あたしは安全よ。追われる身同士、仲良くしましょう』

Aが微笑んでみせると、ロビンと名乗った少女は安心したような顔を見せてしがみついてきた

＿＿＿＿＿_数日後_＿＿＿＿＿＿

『もう海軍はいないみたいよ』

｢ありがとう、Aさん｣

『ううん、あたしはもう行く。あなたはどうするの？良ければこのテントとお金をあげるわ。』

｢お金なんて！だめだわ、Aさん！｣

ロビンの手にお金を握らせると慌てて返してくるので、小さな手にAは自分の白い手を重ねた

『いいのよ、あたしの寂しさをまぎらわせてくれたお返し。数日分の食料を買える分はあると思うけど。これから一人で大丈夫？』

｢…ありがとう。本当にありがとう｣

『あなたは賢いからきっと大丈夫ね。じゃあ、またどこかで。生き延びろよ』

Aは飛び立った

ロビンはその黒い羽の天使の姿をキラキラとした目で追った

貰ったお金を握りしめて

「Aさん…また会えるかしら」