吸血姫と呼ばれた少女【ワンピース】 (ページ13)

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空腹ページ13

逃げてから何日か経ち、Aは小舟を見つけて旅をしている

地図はなく、方位磁針のような手軽なものさえない

今どこにいるのかすら分からない

広すぎるこの海で生きていけるのか、と目を瞑る

『ｸﾞｩｩ…お腹すいたな、あれは?…海上レストラン、バラティエじゃないか！』

海上レストランバラティエ
聞いてはいたが味は如何程か

Aは無難にオムライスを頼んだ

『いただきます……！うまっなんだこれ！うま！久しぶりに食べたよ、こんな美味いの…私感動して涙出るなんて初めてだ…』

Aは次々に飯を頼み、それを全て平らげていく

『お腹すいた…』
｢｢｢｢まだ食うのかよ！！！！｣｣｣｣

客と料理人の華麗なツッコミ

｢美味いか？｣

声のするほうを見ると、金髪の小さな少年が満面の笑みでこちらを見上げていた

『うん、美味いよ。これ、もしかして君が作ったの!?』

｢いや、オーナーが作ったんだ｣

『じゃあ君はウェイター？オーナーさぁん！これめちゃクチャうめぇよ！ありがとな！』

｢｢｢｢うるさぁぁぁ!!!!｣｣｣｣

オーナーが何処にいるのか分からないので
室内に響き渡るような大声で感謝の言葉を述べた

皆耳を塞いでいる

｢なあ、あんた、オールブルーって知ってるか？｣

『オールブルー…？あー、聞いたことあるけど…場所は知らないしどんなところかも私は知らないよ。それがどうかしたの？』

｢俺、オールブルーを見つけるんだ！｣

キラキラした瞳でAを見つめる少年
Aは口周りを拭きながらそちらに目をやる

『いい夢だな。君もこんな美味しい料理を作れるようになるといいね！オーナーさんに美味かった、ありがとうと伝えて。それから、君は夢を叶えられるよ、夢は信じていれば叶うわ』

｢…ありがと…｣

Aはその少年にニコッと笑いかけた

すると突然扉が開いて海軍が入ってきた

｢吸血姫め！｣｢捕らえろ！｣

『げ、それじゃあね、少年！』

Aは空いた窓から飛び立った

｢おい待て！この野郎！｣
｢追え！｣

海軍が慌ただしく出ていく
店の扉は半壊

｢また、会えるかな…赤い瞳の綺麗な人…｣

金髪の少年は女が去っていった窓を見つめ、小さく呟いた