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｢そんなに急がなくても、僕はどこへも行きませんよ。｣
話を戻してそう言っても、Aはぎこちなく笑うだけだった。
｢何か不安なことでも？｣
聞くと、Aは思い切ったように立ち上がり、机の引き出しから一通の手紙を取り出した。
シックなデザインのその手紙は、刻印が刻まれた赤い蝋で封がされてあり、封筒の端には見覚えのあるとある名門校の名前が記されている。
｢…これは？｣
差し出された手紙が、何を意味するのかが分からない。
ただ、Aの沈んだ表情から察するに、これが彼女の不安の種だということは分かる。
Aの顔を見て、手紙についての説明をじっと待った。
やがて彼女は口を開き、はっきりとした口調で話した。
｢推薦状です。
魔法医術を学べる、専門の学校からの。
父方の叔父がここのお偉いさんで、私の解剖を直接見た時にぜひ来てほしいって…｣
僕は一瞬、素直にAの優秀さに感心した。
最高水準の医学を学ぶ学校から、直々に推薦されるなんてエリート揃いのこの学校でも滅多にない事例だ。
しかし、もしAがその推薦を受け入れたのなら、僕達は離れ離れになるのだ。
その事実に気づき、Aに問い詰める。
｢推薦を、受けるつもりなんですか？｣
僕の言葉に、Aは黙ったまま首を縦に振った。
Aの判断は、至極真っ当で、正しかった。
だから僕は、荒れ狂うこの本心を抑え、笑顔でAの決断を受け入れるべきなのだろう。
｢そう、ですか。｣
長い沈黙の後、やっと放ったその声には、僕の不満が分かりやすく表れていた。
Aももちろんそれを察して、目を伏せた。
そして、｢すみません。｣
と、消え入りそうな声で言うのだった。
お互いに結ばれたばかりだと言うのに、どうして離れ離れにならないといけないんだ。
魔法医術なんて、ナイトレイブンカレッジを卒業した後で学べばいいじゃないか。
彼女の母親が、わざわざAを男の姿をさせてまでこの学園に苦心して入学させたというのに。
そんな不平不満が、頭の中で連ねられていく。
しかし本当に彼女を愛しているのなら、笑顔で見送ってやるべきじゃないのか。
その学校でならAがしたい解剖も本格的に学べるのだろう。
第一、僕は解剖に情熱を燃やすAに惹かれたのだから、彼女を応援してやら無ければならない。
相反する二つの考えが、ぐるぐると頭を回った。
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ランカスター(プロフ) - レオンさん» コメントありがとうございます！！お気に召していただけたようで何よりでございます♪ ジェイドのみ副寮長、ご指摘の通りですね！見直してみて気づきました…。ガバガバで申し訳ないです 笑 コメント下さり本当にありがとうございます！ (2021年1月4日 10時) (
レス) id: d91d53123f (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - すごく内容好きです....!!!!!ｳｯ...！！オクタの副寮長はジェイドのみだと思います...！ (2021年1月3日 8時) (レス) id: 8a19b2b241 (このIDを非表示/違反報告)
ランカスター(プロフ) - mitoさん» コメントありがとうございます！！ジェイド最推しの方にお褒めいただいて嬉しいです♪書いてて自信が持てますし、とっても励みなります！どうぞ、最後までお付き合い下さいね！ (2021年1月2日 22時) (レス) id: d91d53123f (このIDを非表示/違反報告)
mito(プロフ) - 更新頑張ってください！ (2021年1月2日 21時) (レス) id: ebda06392e (このIDを非表示/違反報告)
mito(プロフ) - ジェイド先輩が最推しなので最高です！大好きです！愛してます！！更新あ (2021年1月2日 21時) (レス) id: ebda06392e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ランカスター | 作成日時：2020年12月16日 15時
