【YOI】彼と私と・・・・ 2 (ページ3)

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お誘いはいつも突然に 20【ヴィクトル】ページ3

「彼氏はいるの？」

「いないです」

「好きな人は？」

銀髪の彼がふっと浮かぶが、頭を横に振る

「・・・いない」

母親は深い深い溜息をついた

親不孝な娘で申し訳ない

「A、今週家に帰ってらっしゃい」

「え、何で？」

「実はお父さんが縁談の話を持ってきたのよ」

「・・・縁談・・・？」

突然の話に固まる

娘に断りもなく、何てことしてるんだ！

「少し会って話すだけでいいから、ねっ？」

唇を噛み、気持ちを落ち着かせようと大きく息を吸う

未だに私の頭の中に浮かぶ、ヴィクトルの姿

「・・・分かったよ」

母親への返事と共に

ごめんなさいと誰に向けたか分からない謝罪を心の中で呟いた

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

床が軋む音に反応し、振り向くと気まずそうな顔をした勇利くんがいた

「あー、こんなとこで電話しててごめんね」

「いえ・・・ご両親から電話ですか？」

「そうだよ。ちょっと色々とね」

ため息混じりな息を吐き、笑った
勇利くんは何か不満そうにしており、私は首を傾げる

「勇利くん、どうしたの？」

「その・・・縁談の話、受けるんですか」

「聞かれてたんだね」

すみませんと頭を下げる勇利くんに、慌てて頭を上げるように言う

こんなとこで話をしてた自分が悪いのだから、辛そうな表情をしないで欲しい

「まだ、受けないよ。取り敢えず、会って話をするだけだし」

「そう・・・ですか」

「ま、会った所で私がやりたい事が出来てないから話を受けることないけどね」

「やりたい事ですか？」

「うん。まだヴィクトルのために何も出来てないから」

何処から入ったか分からない風が髪を揺らす

「僕から見て、Aさん色々としてると思いますが。食事の管理とか身の回りのお世話してますし」

寧ろ、やり過ぎなくらいですよと勇利くんが苦笑いを浮かべる

「言われると確かに・・・でも、これが仕事だし」

「ヴィクトルから聞きましたけど、初めはカロリー計算からメニュー提案までする機械を作るためだったって」

「そう言えば、そんな話から始まってたなぁ」

「この前、何でもしてくれるから、Aさんは奥さんみたいだねってヴィクトルに言ったんですよ」

"奥さん"

その言葉にかぁぁっと全身の体温が上がる

考えるよりも先に口が開いた

「そんな言葉、ヴィクトルが困りますよ」

自分が言った言葉にも関わらず、目を見開く