向日葵畑に星空を《F.Joitiro》 (ページ10)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:26,234 hit

：story9 ページ10

あいつのおかんに呼ばれ

もう1度あいつの病室へと戻った

ガラッ開けると今までにした事の無いくらいのくらい表情でこちらを見ていた

俺はそのときあいつにどう声をかけたら良いか分からへんかった。

いつもらならあんなに話できるのにそのときだけはそんなたわいもない話すらできなかった

そんな沈黙を破ったのは紛れもないあいつやった

『なぁ…もし今うちが目の前から消えたらどないする？』

あいつらしくない質問に戸惑いを隠せなかった

あいつが俺の前から消える？そんなこと考えたこともなかった。

藤原｢は？お前が？いなくならへんやろ？｣

いつものように少しおちゃらけて言った

自分のこのどうしようもない気持ちを落ち着かせようと

林｢せやで？急に何言い出すん笑｣

末澤｢そーやこの先も俺らはずっと一緒やろ｣

続けてまとくん、末澤も俺に同調する

梨帆はひとり唖然とした様子でどこか一点を見つめていた

『そやねんな？うちらはずっと一緒やねんな…』

笑いながら言ったその声はどこか泣きそうで震えていた

ただあいつが笑ったことで少しこの場の空気も和んだ

だが次のあいつの言葉でこの病室の空気は最悪なものへと変わっていった

.

『うちなぁ…』

____大人になれへんかもしれない

その言葉を聞いた瞬間、驚きの余り呆然とした

静かだったその場がよりいっそう静まり返った

意味がわからへんかった。あいつが大人になれへん？

『悪性脳腫瘍やって…』

梨帆｢うそっ…いやぁ…うそっていって？！｣

Aがふるふると首を横に振ると何かが切れたかのように泣きだす梨帆

まとくんや末澤も驚きのあまり声も出ていない

『じょおっ…うちどうすればええねん…』

嗚咽混じりで言うその言葉を聞くと、これは夢ではなくて現実なんやと思い知らされる

藤原｢治るんよな？脳腫瘍…治るんよな？？？｣

溢れそうな涙を堪えながらAにそう問いかけた

がしかし、反応はなくあいつはただ俯きベッドの掛け布団をただ握っているだけやった

その日の帰り道はいつもより静かでいつもなら綺麗な夕日も今日だけは虚しく思えた