大人になったら (ページ7)

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初めまして、ヌナページ7

見習いとして働き始めて１年ほど経ち、
私は社長さんに呼び出された。

普通に働いていてもなかなか招かれることのない社長室なので
入るのに少しドキドキしてしまう。

「Aです。」

名前を告げてから社長室のドアをノックする。

社長「どうぞ。入りなさい。」

「失礼します…」

おそるおそる入室すると、

「Aくん。久しぶりだね、まあ座りなさい。」

相変わらず優しい社長さんの声と表情に安心し、
少し緊張がほぐれる。

「ありがとうございます、失礼します。」

私が腰掛けるのを見てから社長さんが口を開いた。

社長「どうだい？もうそろそろ仕事には慣れてきたかな？」

「はい。裏方として新しく学ぶことも多くて…まだ１年しか働いてないけど、誰かをサポートするこの仕事が凄く自分に合っているなって感じています。」

これは本心だった。
まだ誰かをデビューに導いたり、
成功させたりしたことはないけれど
裏方としてこの世界に関わることが楽しいと感じている。

社長「そうかい…とってもいいことだね。Aくんがまた良い笑顔を見せてくれて私も嬉しいよ。」

怪我でダンスを失ったことを完全に乗り越えた訳では無いけれど
もう苦しくて泣いたりすることは無くなった。

私に生きる意味を再び与えてくれた社長さんには感謝しかないな…
もちろんあの日私の背中を押してくれたオッパにも感謝している。

社長「そんなAくんに１つ、お願いしたいことがあって今日は呼び出したんだよ。」

社長さんはニコニコしつつ私を見据えた。