大人になったら (ページ3)

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社長「あの子達を一流のアイドルに育て上げる。君の手で。このSMエンターテインメントのアイドルとしてデビューさせて、彼らの夢を君が叶えるんだ。」

「...は？？？？」

優しく微笑み返す社長さんに私が返すことができたのは

「…少し考えさせて下さい。」

という言葉だけだった。

社長さんは「まあゆっくり考えなさい。１週間後に返事を聞かせてくれ。」

と言い残し、去っていた。

私は１人練習室前の廊下に残され、
練習生達が踊る姿を眺めながら考える。

もうアイドルになれなくなった私が
誰かをアイドルにする。

もう一度私も誰かと一緒にアイドルを目指すことができる。

私ではなく誰かの夢でも、背負うことができる。

魅力的な話だと思った。
学校にもろくに通えていない学のない私が
学歴社会である韓国で生きていけるとも思わない。

それなら大好きなダンスとアイドルに関わりながら生きていく方が良いのかもしれない。

…でも、
正直、自分が嫉妬にまみれてしまわないかが不安だった。

さっきだって踊る練習生を見るだけで
その場から逃げ出したくなった。

私はなれないのに、ずるい。

そんな感情が私にあるんじゃないかと不安だ。

ぐるぐる考えていても考えがまとまらず
ただボーっとしていると突然後ろから誰かに突進された。

？？「ヤー！何してんの練習室の前で！！」

うんざりするくらい元気な声の主はうんざりするくらい知った声だった。