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死んで生まれ変わった世界は自分が好きだったソシャゲ。通称”Fate/GrandOrder”という7つの特異点を修正し、人理を修復する人気なスマホゲームだった。
周りの人がやってたから、という単純な理由で始めたのはいいが、膨大で面白いストーリー、キャラがどれも魅力的、などなど…どんどんハマっていった。
まだまだ新米マスター…と言はいえ、ストーリーだけはコンテニューをしてでも最新までやっていた。
主人公になった気分で 数々の好きな英雄達と冒険した。あの画面の奥だけの世界だとしても、俺には戦闘の緊張感もあったし、美しく儚い景色だって自分の目で見た。そんな思い出だらけのゲーム。
生まれてから名付けられた、藤丸立香という名前にこの先の大冒険を期待せずには居られなかった。
そんな、淡い期待。
辺り一面が火の海、肉塊だらけで踏み場所のない地面の上で1人俺は座り込んでいた。
ジャンヌ・ダルク・オルタは次々と兵士を殺し、フランスは一瞬の内に彼女達に侵略されていった。
こんなはずでは、なかったのに
「……マシュ」
ふと思いついた名を口に出す、唯一の自分のサーヴァントである彼女は生きているだろうか。
疲労と火傷で動かない足を引きずる。魔力不足で悲鳴をあげている身体は、少しでも油断すれば意識が落ちてしまいそうだった。
「その方向に微弱な生体反応だ」
「ドクター…」
「藤丸くんすまない、もう少し頑張って欲しい。彼女を見つけたらレイシフト出来るように準備は整っているよ」
「はい」
俯いた顔をあげることが出来なかったのは、きっと怪我のせいだろう。
戦場にてマスターとしてサーヴァントから求められる能力とは、勇気ある決断、判断力、そして絶対に勝つという強い意志に信頼だと俺は思う。
自分なりに誠実にやってきたつもりだったが、どうにも能力不足だったらしい。
「なによ、貴方こんなに弱いの?」
オルレアンにレイシフトした俺たちは、到着したと同時に待ち構えていたジャンヌ・オルタとすぐ戦闘となった。
カルデアのことはバレていたのか、彼女は完全に俺達を殺す気だった。
一刻も早く戦線を離脱するため、慣れない魔術礼装でマシュに【緊急回避】と【瞬間強化】を付与し、マシュにサポートをされながらその場を凌いだ。
令呪がある方の手に、ピリッと痛みが走った。
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作者名:木綿豆腐 | 作成日時:2022年12月20日 7時