カフェ・ジャンプ〜光に手を伸ばして〜

・そして ページ29

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光の胸の前で黒いキューブが現れ、そこに光の魔力が吸収されていく。光から魔力が感じられなくなってきた頃、キューブに鎖が巻きつき光の胸元に吸い込まれていった。


光から、体内の魔力が微量しか感じられなくなった。この量が、人間としての最低限なのかと知ると同時に、クンの使った魔法が何なのか疑問を持つ。


「……古代魔法……？」


古代魔法。エンシェントマジックとも呼ばれる、大昔、魔法というものが存在し始めたばかりの頃の初期の魔法。それは現代魔法とは比べ物にならないほど難易度も魔力量も多く、身体への負担も大きい。


……今の状態のクンがそんな魔法を使えば、結果は見ずともわかる。ーーー目を逸らしたくても、わかってしまった。


『これでもう、大丈夫だな……っ』


「クンさん！？しっかりして！」


「おじさん！クンおじさん！」


ーーークンは、意識を失い倒れた。


だめだ。2人ではクンを抱える事も引きずって行く事も出来ない。体格差が大きすぎる。幸い、あの魔物はクンが討伐してくれたので、他に魔物はいないだろう。


クンの魔法は、周りの魔物にクンが絶対的な強者だという感覚記憶を植え付けた。それなら当分近付いてこれない。


このまま、クンにはどんな治療魔法をかけても助からないだろう。


そんな信じたくない事実を、光に話さなければならない。口に出したらクンが死ぬということを認めたことになる。出来なかった。


ーーーだから宏太は、クンに縋る光の手をとって、無理矢理引っ張ってその場から離れた。


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