カフェ・ジャンプ〜光に手を伸ばして〜

・まもられた ページ28

ー→


『……黒箱(パラドックス)……』


聞こえてきた声に、驚愕した。聞き慣れた、俺の大事な人の声。この人のために光を守って来たのに。ここでなんで俺が守られているんだ。


「クンさん……！……ぁっ！！」


恐る恐る目を開く。宏太たちの目の前には、黒い箱に包まれた魔物と、その魔物の攻撃を直に受けてしまった血の流れるクンの身体。いつもは大きな頼もしい背中が、この時ばかりはとても強いものに見えた。


「クンさっ……クンさん！！」


クンが膝から崩れ落ちた。呆然としている光の手を引いて急いで駆け寄る。咳と共に吐き出した血を見て、光は泣き出した。


「おじ、さん……っ、おじさん！ごめん、ごめんなさい！俺のせいだ、俺がこんなとこ来たから！宏太に迷惑かけた！おじさんこんななっちゃった！」


『光の、せいじゃねぇよ……誰の、せいでもない』


「おじさん！！」


『いい、か……光。俺はこれから、お前にある魔法を施す……そしたらお前は、もう光魔法を使えない……。これで、光は普通の人間だ』


激痛に顔を歪めて、それでも宏太たちを悲しませないように笑うクン。光の顔はもう涙でぐしゃぐしゃだ。クンは、光の涙を指ですくった。


『……古代魔法 黒き鎖……』


ー→

・そして→←・まもらなきゃ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す