カフェ・ジャンプ〜光に手を伸ばして〜

・それから ページ24

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三乙女家の人間だけが1日で全員行方不明になったという、そんな噂を聞いた。原因は不明とされており、あれから一年が経った今は迷宮入り事件として処理されたそうだ。


ーーーそう、あれから一年が過ぎていた。カフェ・ジャンプでの生活にも慣れ、宏太との関係も深い友情を築けた。1年前とは比べ物にならない宏太のふにゃっとした笑顔は、光にとって、あの辛かった日々を忘れられるいい薬だった。


「ねぇ、暇だし森へ行こう！」「だめだよ光。森は危険だよ」


「えーいいじゃん！この1年で森には慣れたもん！」


「でも、今はクンさんいないから……」


「じゃあ一人で行くからいいし」


どうせ、宏太はいつも俺のわがままに最後は付き合ってくれる。拗ねたように先にカフェを出た光は、それをわかっていた。そして、宏太もそれを理解していた。光を追いかける。


1年経って、2人は森のことは随分知識を持っていた。行っても大丈夫なところと、行ってはいけないところ。動物がたくさんいる場所と、綺麗な花が咲いている場所。


それでも、森はいつも変化する。いつどこでなにが起こるかはわからない。そして、クンが出かけていていない今、勝手に森の中を探索するのは危険なことを宏太は知っていた。


帰ろうと何度説得しても聞かない光。そうする間に、2人は周りを見ずに歩いていたせいで随分カフェから離れた場所に来てしまっていた。


「なんか、ここ暗いな……」


光が魔法を発動させた。ただ辺りを照らすだけの簡単な魔法だが、その精度は高い。クンによって指導されたその忌まわしい光魔法は、今ではとても便利なものに変わっていた。


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