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・すーぷ ページ29

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"にゃ"


「ん、ぅ……?あ、アリュー…」


いつの間にか眠っていたみたいだ。ぺちぺちと頬を叩かれて目が覚めた。


目の前にはアリュー。猫に起こされるとは。


俺が体を起こすと同時に、この部屋の外でコツコツと言う足の音とジャラジャラと金属の、おそらく鍵をいじる音がした。


壁上に申し訳程度に空いている穴から見る空は、もう真っ暗。いつでも暗いこの部屋じゃ時間感覚はとうの昔に崩れてしまった。


夕食の時間のようで、食事を運ぶ男が入ってきた。


アリューを背中に隠し、気付いていないふりをする。


「おい化け物、飯だ。アキラ様に感謝して食えよ」


扉の下の小さな扉からお盆についた夕食が部屋に置かれた。はい、と小さく返事をする。しかし相手にしっかりと聞こえるように。お仕置きはされたくない。


去っていく音が聞こえなくなり、ため息を吐く。辛うじて両手の枷が届く距離にあるお盆をこちらへ引き寄せる。


「スープだけ……かぁ」


正直これでは足りない。食事が与えられるのは夕食のみなわけで、朝と昼は水一杯出されるかどうか。もう、お腹いっぱいになんて8年間一度もなかった。


それでもまあ食べる量が減ればそれによって胃も小さくなる。たぶんだいぶ小さくなっているだろう。


アリューにスープを飲ませながら、自分も飲む。まずくはないし、かと言っておいしいわけでもない。時間をかけてゆっくりと完食させる。


夕食が出されて約30分後には食器を回収しにくる。今日もそれは変わらず、俺はやることがなくなった。


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りんやぶひかLOVE - 凄くおもしろかったです。やぶひか最高ですね。 (2015年11月3日 23時) (レス) id: 791b797a38 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁月 空 | 作成日時:2015年11月3日 0時

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