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イヌピー……青宗……青宗。青宗と呼び始めたのはいつだったっけ。あぁ、そっか赤音さんが死んでからかな。









「A、いいか。」


「何?」


相変わらず何を考えているのか。ジト目でサンドウィッチを食べる私を見下ろしている。


今昼食食べてんだけど。

場は図書館前。家から早々逃げて食事も外で食べる。
朝早く出て門限ギリギリまでに帰る。それを繰り返ししている夏休みである。
そう、夏休みなのだ。ココ君とは中々会えないなと1人悲しみにくれてたら傍らだけ来て……なんなのさイヌピー。


腰をストンと落として私の隣に座る。え、なんで座んの


「俺もちょうだい。」


「タマゴサンドなら。」


「ん」



相変わらず流されてしまった。イヌピーのペースは呑気気まま過ぎてどうも弱る。



「私、怒ってる」

「俺も」

「なんで来たの?」

「さぁ、」


…………。



何この空気。横目にイヌピーを見ると相変わらず綺麗な顔をしている。まつげ長い。



「言い方キツかった。ごめん。」


……



不器用なひと。
理由(ワケ)あってちゃんと来てるのに。でもイヌピーが謝る必要なんて本当はないのに。私器小さいなぁ……三ツ谷…くんみたいに、なりたいなぁ



ぎゅと自分の袖を握って顔を埋める。



「ごめん……青宗くん。」



「…!」


「意地張った。」
「青宗の事馬鹿にした。踏み入った、ごめん。」


「こっち向けよ」

「やだ」

足を3角に折って顔を埋めながら悔し泣きしてるから顔上げれない。喧嘩したかったわけじゃないんだ。
本当は同情したかっただけなのに。




イヌピーは立ち上がって正面に立つと私の頬を持ち上げて目を合わせてくれる。



「……泣いてんのか」

「っ、泣いてない」

「ウソつけ」


不器用に不格好にイヌピーの袖が私の目に押し当てられた。









どうやら、今回は私の負けらしい。

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作者名:麦の丸。 | 作成日時:2021年8月25日 23時

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