16 ページ16
中に入ると少し薄暗くてテレビやソファ、ロッカー机……無数のガラクタ。
「よくこんな所見つけれたね」
腰を低くし、散らかってるものを1つ手に取るとバイクの雑誌。壁には数枚バイクのポスター。
ステッカーなんかもソレっぽい物が貼られてる。
「ココってもしかしてバイク屋さん?」
「うん。元は真一郎君の店だったんだ。」
真一郎……君?
「その人今は?」
「亡くなってるよ」
「そう……ごめんなさい」
…………
暫く沈黙が続いて私たちはガレージに背を向けて少しの間ぼうっとした。どこか新鮮で、少しだけワクワクしてしまった。
「俺、少年院入る前によくこのバイク屋通ってて、」
「何。改まって。」
「そこは頷いて聞け馬鹿。」
馬鹿??
「ぷっ、ふふ、ははは、」
「青宗に馬鹿って言われるとは、ふふ、変なの」
「……はは」
イヌピーは呆れたように軽く微笑んでから、黒龍の事を話し始めた。私はそれを黙って聞いていて。
話終わる頃には、何だか悲しい気持ちでいた。
同情していたのかもしれない。
「青宗って意外と子供なのね。ヒーローを追っかける子供よ……あなたをそこまで揺るがすなんて、真一郎君に一目会ってみたかった。」
「俺ももう一度会いたいよ。」
そう言って肩を竦めて、部屋を見渡した。俺にとってはずっとヒーローのいる場所なんだと。口を漏らしていた。
イヌピーがとても弱々しく見えた。
200人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:麦の丸。 | 作成日時:2021年8月25日 23時