File:002 立ち話もなんですから ページ3
とりあえず、ソファに座る安室さん(降谷さん?)とその前に正座する私。
「なんで、家主のあなたが地べたに座るんですか?」
そんな!!安室さんを地べたに座らせるなんて恐れ多いじゃないですか!!
……なんて言えないので。
「まあ、安室さんはお客様なので」
という言葉でお茶を濁す。
「それじゃあ、本題に入りますね。私はあなたを知っている。あなたの本名が降谷零だということも」
「……どういうことだ」
私の言葉にその場の雰囲気がガラリと変わる。ピリピリとした空気き謝罪の言葉が喉まで出かける。それをぐっと飲み込んで私は言葉を続けた。
「まずは、これを読んでください」
言いながら差し出したのは名探偵コナンの単行本。緋色シリーズの巻。
恐る恐る、といった感じでそれを受け取った降谷さん。その眉間にはだんだんとシワが刻まれてゆく。
「これは、どういうことだ」
読み終わった降谷さんは不気味なものでも見たような目で私にそう問うた。
「私が今から言うことは全て事実です。……降谷零さん、あなたは漫画のキャラクターだ」
降谷さんの目が見開かれる。
「何を言っているんだ、お前は」
何を、と言われましても事実を、としか……。
「疑うのもわかります。でも、証拠は先程読んでもらった漫画と、これも」
と、スマホを差し出す。画面には『降谷零』の検索結果が表示されている。
画面を見て降谷さんはまた驚いたように目を見開いた。
「……お前の言うことは本当なんだな」
「信じていただけましたか?」
「信じるしかないだろう。これだけの証拠を捏造してお前になんのメリットがあるかもわからないしな」
その言葉に私はほっと胸を撫で下ろす。
信じてくれてよかった。
まだ問題は何も解決してないけど、とりあえずの難関を突破した私は安堵のため息を吐いた。
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