苺が好き【twst】 (ページ2)

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2粒ページ2

『ねぇねぇリドルくん』

「A、距離が近いよ」

『ごめんね』

私は、壊してみたいんだ

いちごが潰れてグチャグチャになって

ジャムになるみたいに

「おい、ハーツラビュルの坊ちゃん」

リドルくんが足を止めたかと思うと

真正面にいたのは

レオナ･キングスカラー先輩

「よう、坊ちゃんのご機嫌取り」

正直、私はこの先輩がとてもとても

それはそれはとても苦手だ

可愛い可愛いいちごには程遠いし

大人っぽくって、ブラックコーヒーみたいだし

『どうも、リドルくんのご機嫌取りです』

「……要件は？」

「バルガスが呼んでたぞ」

「すまないA。僕はいってくる」

『うん、ばいば～い』

私とリドルくんの距離がどんどん遠くなってく

可愛い、可愛い可愛い可愛い

「おい」

『なんですか？』

「お前、あの坊ちゃんには合わねぇよ」

ぐちゃ

私の心に潰されたいちごが

パンの上に塗るみたいに

ベタベタにされた感じがする

『どういうことですか』

ブラックコーヒーみたいで苦い先輩に

この甘い甘い感情はわかんないのかな

「お前、そんな顔で機嫌取ったって

アイツの心には響くわけねぇだろ」

そんな顔、私の顔のパーツが悪いのか？

『ブスって事ですか……それは_』

「違ぇよ、そうだなぁ……

俺がアイツを落とす女にしてやるよ」

ｶﾁｶﾁｶﾁ

腕時計の秒針が動く音さえ聞こえてくる

この瞬間から

私の中の真っ赤で可愛い世界は

塗り替えられていく

「覚悟しとけよ、草食動物」

ｶﾁｶﾁｶﾁ

手鏡で自分の顔を見返せば

そこに写るのはやはりいつもの私で

やっぱり顔面を貶されたのか

『ブスかぁ……』

私もいちごになれたらなぁ

「お、どうしたA。リドルはいないんだな」

『トレイ先輩、こんにちは』

トレイ先輩は、生クリームだ

何にでも混ざるし何にでも化ける

なのに、普通なんだ

『先輩は生クリームだから嫌かなぁ』

「はは、今日もそれか｣

先輩はリドルくんを上書き保存する

生クリームは何にでも合うから

「A自身はなんなんだ？」

私

私は

『私は玉ねぎかな』

「玉ねぎ……ちょっとよく分からないな」

『そんなものですよ』