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1〜1.5立方の新思想/4 ページ42




「 うえぇぇぇん結局最後までした信じられない! 」

「 ハハーーッ!信じたら駄目だよ僕のこと 」

「 もおおおお気持ち悪い全身痛い!さいあく! 」

「 かわいいね、Aちゃん 」

うるせぇ、と此方に背を向けた彼女は抱きしめたお腹に回す腕を少し動かすたびに、小さな肩を震わせた。他人の前では泣かない癖に、昨日僕に何をされても泣かなかった癖に、泣き真似だけは上手い。

最高の道化師。かわいくて、小さくて、嘘がうまい。可哀想で、他の人の匂いがする。

「 てかさあ、カーテン開けたまましたのが信じられないんだけど。モラル的に 」

「 高いところにある部屋だから空に近いでしょう? 」

「 よく分かんない……まあ綺麗だけど、晴れすぎてる 」

晴れすぎた空に吸い込まれるように鳥が飛んでゆく。素肌をより近づけると、彼女の瞳もそれを捉えていた。黒い影を映す瞳を、そのままで残しておきたい。ずっとその瞳孔に、自由で美しいものだけを映してほしい。

「 Aちゃんって体が小さいよね 」

「 早産なんです、だからあんまりいじめないでほしーんですけど 」

「 親が居ないのにそれだけ知ってるのってなんで? 」

「 エッグい質問…全て知らない訳じゃないよ、親が居た記憶はあるし、多分フョードルくんが…痛っ、一寸なに!? 」

ぐぐぐ、とお腹に回す腕に力を入れる。一体化してしまうかと云うほどまで彼女の背中が僕の腹に沈む。
何も話さない僕に、彼女は何も聞かない。

「 ……細いんだねぇゴーゴリくん、昨日も思ったけど 」

「 痛いよ〜〜さっきいじめないでって云ったじゃん 」

「 おーーい聞いてる?もう一回は無理だよ? 」

何も話さない僕に、彼女は何も聞かない。
何も望まない。快楽も苦痛も、全部自分の中で消化している。涙を零さない。可哀想だ。
顎を掴んで顔だけ此方に向かせ、次の言葉を食むように接吻をする。本当に好きな人としか接吻をしない人間ってどのくらい居るんだろう。

「 ……たのしい? 」

うん、すごく。離した唇から小さく漏れた言葉に胸の中で返す。夢中で押しつけて、離してを繰り返した。
何をされても泣かない。可哀想。僕に毛ほどの気持ちもない。どっちが、可哀想?

「 たのしい? 」

うん、仕合せ。北向きの部屋。窓の向こうの明るさに反して部屋の中は薄暗くて寒い。また鳥が一羽、二羽と連れ立って飛んでゆく。

かわいくて嘘がじょうずなAちゃん。そのままマフィアに居られたら良かったね。僕が羽を捥いで、また付け直してあげる。



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ねむい(プロフ) - kuroさん» こんにちは、本当にありがとうございます!とても励みになります!これからもどうぞよろしくお願い致します! (2020年1月24日 23時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
kuro(プロフ) - この先の展開がとても気になります!更新頑張ってください! (2020年1月24日 8時) (レス) id: f9572c4e12 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむい | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年1月19日 23時

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