1〜1.5立方の新思想/3 ページ41
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「 ん…… 」
「 驚いた。抵抗しないんだ? 」
「 …なんて云うか、いつもこう。気持ちが伴う行為をしたことがない 」
「 へぇ、可哀想 」
首筋に接吻をひとつ。白い天井が占める川端の視界に、時折淡い色の髪が映り込む。触れる手は下へ、唇は上へ向かってくる。
「 上司とした時もそうだったの? 」
「 ダザイオサムの話ですかーやめてくださいーどこまで伝わってんですかー 」
言い終わるか終わらないかのうちに頬骨のあたりに親指が添えられ、包み込むようにして顔を持ち上げられた後、唇に触れるだけの接吻。
「 ん、……好きな人だけとちゅーできる女ってどのくらい居るんだろうなぁ 」
「 じゃあきみは僕を好きになったら良いんじゃない? 」
「 はは、確かに。きみ、そんなこと思ってもない癖にね 」
「 ハハハ 」
手のひらが川端の腹を直に撫でる。親指のはらに力を入れて、滑るように上へ上へと進んでいく。
「 嫌じゃない? 」
「 嫌ですが。それに、さっききみの云ったダザイオサムはもっともっと優しかったですよお? 」
「 煽ってるんだァ?ハハ、いいねぇ 」
まずい、と川端は身を捩る。その少しの抵抗も見逃さなかったゴーゴリは一瞬の隙に川端の背中に手を回し、持ち上げた。
「 ちょ、待って、嫌! 」
咄嗟に目を瞑った川端が声を上げる。起こされた上半身を硬らせていると、相手の体温が伝わってきてゆっくりと瞳を開けた。
「 ゴーゴリくん……? 」
「 お望み通り優しくしてあげる!何がしたい? 」
「 ……終わってほしい 」
寝そべったまま背中に回された腕の温度に身動ぎする。もぞもぞと動いて漸く顔を上げると、笑顔で川端を見つめる瞳とぶつかった。
「 いいよ? 」
「 え?…あ、ありが……ヒッ、一寸!!!ホック外したでしょ! 」
「 だってさっきは最後までするつもりだったもん 」
猫みたいな人だ、と思った。その反面、何を考えているのか全く分からなかった。何故自分に優しくする積りになったのかも、川端にはわからなかった。戸惑いながら視線を逸らしていると、顔にいくつもの接吻が降ってくる。
「 ちょ、え、なに!っん 」
「 え〜〜?何だろうねぇ 」
「やっ、待って……オイ 」
額、眉間。瞼、頬、鼻先、人中、顎。唇。猫みたいな、人だ。首筋、耳のすぐ下、耳朶、髪。
「 これ、リバイバルじゃないですよね? 」
「 さぁ?どうだろうね 」
また川端の腹に大きな手のひらの体温が乗せられる。
「 ホック外したの、確信犯じゃないですか 」
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ねむい(プロフ) - kuroさん» こんにちは、本当にありがとうございます!とても励みになります!これからもどうぞよろしくお願い致します! (2020年1月24日 23時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
kuro(プロフ) - この先の展開がとても気になります!更新頑張ってください! (2020年1月24日 8時) (レス) id: f9572c4e12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねむい | 作者ホームページ:
作成日時:2020年1月19日 23時