こどもおとなは転職したい【文豪ストレイドッグス】

鳴かぬなら 殺してしまえ／７ ページ19

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「 あの子はさ、“ 鳴くまで待とう ”って感じだよね。 」


鳴かぬなら、鳴くまで待とう時鳥。
彼には“ 誰かが助けてくれる ”という精神が根強く植えられている。そんな彼の精神操作はきっと、驚く程簡単であろう。


「 彼には裏で賞金がかかってる。私、お金大好きだから欲しいなって思った！だからね、 」


____人虎はポート・マフィアが頂くよ。


“ 誰も助けてくれない ”窮地に陥ったら、彼はどんな行動を取るのだろうか。泣いて許しを乞うのだろうか、それとも勝ち目のない戦いをする？彼が自分のことを少しでも話してくれたのなら好都合である。太宰が変な入れ知恵をしていないといいのだが。


「 私は未だ、否、これから先もずっと“ 殺してしまえ ”派なんだよ 」


ループからは抜け出せない。光の中に連れて行ってくれるかもしれないと思った人間は、もう既に光の中で人を救っている。____そうだよね、太宰。

現に太宰は敦君を救ったじゃあないか。暗い暗いところにいた太宰が、明るく眩しい所に出て、それでも未だ“ 死にたい ”だなんてのたうちまわると云うのか。以前の自分と同じ暗いところに居る人間に、例えば私のような人間に手を差し伸べることもなく。

私の言葉と、彼奴の親友、“ 織田作 ”の言葉の間違い探しをしたとして、私は一つも間違いを見つけることができなかった。何故死にたいのか、理解できない。何故彼奴に救済が与えられるのか、訳がわからない。


_____世界一不幸で、世界一幸運な人間はたった一人、太宰治だ。


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「 もしもし首領、“ ふくざわどの ”と太宰を人質にとる作戦は白紙、そう参謀に伝えてください。……理由ですか？うーん… 」



「 “ 鳴かぬなら、鳴かせてみせよう、時鳥 ”。彼奴はかなりの行動派、頭も切れるし。首領、貴方が追い出していなければ、太宰はとうに首領を消して天下を取っていた筈ですから。 」



「 何が言いたいのか？____太宰をそうしてしまったのは、貴方にも原因があるということです。大きな原因は違うことですが。貴方の気持ちも分からなくはない、けれど太宰は絶対にこちらへ戻ってくることはない。 」



「 舐めた口をきいてしまってすみませんね、いつものことですが。……其れは、褒め言葉ですか？お褒めを賜わり恐悦至極です、首領。 」



「 嗚呼あと……… 」




「 明日のお散歩の許可を頂いても? 」




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