愉しいお噺が始まる ページ1
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猫っ毛の黒髪を翻して、彼女は歩いて行った。
瞳に無邪気な光を宿したが、奥の奥では黒く、何か得体の知れないものが渦巻いている。
チョコレヰトが食べたい、と呟きが聞こえた。ポケットをガサゴソと漁った挙句、取り出したのは端末。どうやら誰かに電話をかけるようだ。
ここだけの話、彼女はあの“ ポートマフィア ”の一員である。といっても下っ端の構成員、大したことはないと思われがち。
然し、
___子供のような彼女は、酷く大人びていた。
「 中也、私チョコレヰト食べたいから買ってきてよ 」
端末の奥から怒号が鳴り響く。片目を瞑り忌々しそうに耳を離した彼女はどうやら幹部に電話をしていたようである。_____否、上司を敬うような口調ではなかったが。訂正しよう、つまり彼女は“ 幹部 ”としてではなく“ 中原中也 ”に電話をかけていた。
「 うーん、つれないなあ…ま、いいか。首領の部屋にストックあった筈だし 」
今日もヨコハマの空は晴れ渡っていた。作戦変更。そう呟くと同時に彼女は振り返る。そしてそのまま歩いて行った。自らの足で向かっていた敵の組織には今日も平穏が訪れるようである。
言い忘れていたが、この話は彼女の“ 遊び ”に過ぎない。お飯事や、鬼ごっこ。そういった類の、遊び、である。
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ねむい(プロフ) - イチゴプリンさん» いつもありがとうございます、本当に励みになります、、!これからも何卒宜しくお願い申し上げます! (2018年4月2日 12時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
イチゴプリン(プロフ) - ねむいさんの作る作品はとっても面白くて大好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年4月1日 13時) (レス) id: 645f74247e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねむい | 作者ホームページ:
作成日時:2018年3月27日 16時