46 翠の過去 ページ7
「3465番、早く立たんか。」
「2740番、只今射殺しました。」
この施設の人間は、名前を与えられず番号で呼ばれる。
「翠A、お前は此方だ。」
…私を除いて。
この施設の子供達は、二つの階級に分けられて生活している。
一つは、異能を体に慣らす事ができず、体力だけが減っていき、最終的に殺される子供達の階級。
もう一つは、ごく稀に存在する、異能をコントロールする事ができ戦闘に向いている子供達の階級。
私は後者に属する者で、暗殺者として戦闘に繰り出されても自然でいる事ができるように、名前を与えられ、最低限の普通な生活を送る事を許してもらえていた。
前者の階級の者達は…私とは違い、食べる物もろくに与えてもらえず、苦しい生活を送っていた。
とは言っても、私が送る普通の生活というのは、食事を与えてもらえる事や、ある程度の教育が受けられるという事くらいで、私も他の子と同じ様に辛い実験を受ける事に変わりはなかったのだが。
「着いたぞ。」
研究者について行くと、天井に沢山の大きな銃が付いた広い部屋に辿り着いた。
…うわ、嫌なやつだこれ。
この部屋では、色々な角度から飛んでくる銃弾を異能で受け止めるという訓練をする。
これ、受け止めきれずに弾が当たったら凄く痛いんだよね。
「何をしている、早く中に入れ。」
私は言われた通り部屋の中に入る。
痛いのは嫌だと思うけど、この環境が異常だとは思わなかった。
だって、異常では無い…
通常の世界を…私は知らないから。
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文スト - こんなに素晴らしい作品を作っていただきありがとうございます。とても感動いたしました。特に中也さんのありがとうな相棒が泣けました!!こんなに感動を与えてくれる作品はなかなかありません。これからも頑張ってください!!応援しています!! (2020年4月4日 0時) (レス) id: a01fb1d9df (このIDを非表示/違反報告)
落葉 - とても。良かったです。すみません、何かこう…もっと出したい想いがあるのですが言葉が上手く出てこず…でも本当にこのお話、好きです。このお話に出会えて良かった。 (2019年1月14日 23時) (レス) id: 86e3e2dd18 (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - ふとこの小説を見つけて読んでみると、とても面白くて引き込まれてしまいました!とても感動的な話をありがとうございます!夢主の過去と最期の時に涙しました…! (2019年1月4日 21時) (レス) id: 29bb7cf916 (このIDを非表示/違反報告)
夢ノ胡蝶(プロフ) - ミーシャ アルグさん» コメントありがとうございます!今でもこの小説を読んでくださる方がいて、コメントまで頂くことができて、嬉しい気持ちでいっぱいです…!本当に最後まで書いて良かったです。読んでくださってありがとうございました! (2018年7月7日 22時) (レス) id: 418ca22426 (このIDを非表示/違反報告)
ミーシャ アルグ - 感動しました~!!(ノ_・、)本当に面白かったです! (2018年3月7日 6時) (レス) id: 31eda759a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢ノ胡蝶 | 作成日時:2016年8月28日 13時