【ジョジョ】存在しない女の子【荒木荘】

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「あ､あの､こちらの方は………？」
まだその人を見れぬまま､ヴァレンタインにそう言うと､
「何の冗談だ？」
と､その人が不満そうに言う｡

「あ､えっと……」
記憶を失った｡なんて言っても信じてもらえるわけはない｡
そう口をつぐむと､
「Aは記憶を失ったんだ､カーズ」
と､私の代わりにヴァレンタインが答える｡
「はぁ〜？」
納得いかない､そんなの信じるかという感情が伝わってくる｡

カーズ､そう言われた人は､フンと鼻を鳴らした後､
「そうか､それなら仕方ないな」
と言った｡

「だが､まだ答えは聞いてないからな！何をされたのか､その答えを聞いていないからな！」
「だから何もしていないと言っただろう！」

2人は言い争いを始めるが､急に解けた緊張に笑みが零れる｡
「何を笑ってるんだA！何かされたんじゃあないのか!?大丈夫なのか!?」
そう心配そうに言うカーズに､
「大丈夫ですって､さっきも言ったじゃあないですか」
笑って返せば､「そうか」と頭を撫でられた｡

「っ……うぅ〜…」
我に返れば､目の前のカーズの姿を見て顔を俯かせる｡
「やっぱり何かされたのか!?」
「大丈夫ですってば………」
「だからお前はその服装をだな…」

カーズさんの格好にはまだ慣れないけど､悪い人じゃないみたいだから､
ちゃんと見て話せるようになりたいな………｡

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