【ジョジョ】存在しない女の子【荒木荘】

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ドタドタと走っていく足音が聞こえた後､
「シャワーを浴びようと思ったら女が居たぞ！誰の女だ!?」
と､怒鳴るような声が聞こえた｡

「本当に､ごめんなさい………」
1人小さく呟いた謝罪の言葉が反響するが､シャワーの流れる音で､外には聞こえていないだろう｡


そのまま､水道代が掛かるかもとは思ったが､人様の家の浴槽に浸かるのもと思い､
シャワーを浴びていると､乾燥機が乾燥終了を知らせる｡

それを聞いたのか､近付いてくる足音が聞こえ､
「乾いたみたいだね｡じゃあここにバスタオルと一緒に置いておくから」
と､優しい声が聞こえた｡

この人の声､好きだなぁ……｡
そんな思いを悟られぬよう､「はい､すいません…」と答え､
その人が去った後に浴室から出る｡

すると､そこには､綺麗に畳まれて私の服が置いてあった｡
「ここまできちっと……」
広げるのがもったいないほど綺麗に畳まれたそれを見てそう呟く｡
そして､隣に置いてあるバスタオルを取り､体をくまなく拭いた後､その服を着た｡


温かい､いい匂い……当然か､今まで洗濯されて乾燥機にかけられていたのだから｡
と自分に自分でそう返すが､それはすぐに他の思考でかき消された｡

なんで､初対面の私にここまでしてくれるんだろう｡
なんで､私は何も思い出せないんだろう………｡

自分に対する頼りなさから､ぽろぽろと涙が零れる｡
それをバスタオルでふき取り､更衣室を出た｡

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