【ジョジョ】存在しない女の子【荒木荘】

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まだ続いている2人の争いに､
「おい､Aが取れないぞ｡それに私達も取れない」
とヴァレンタインが2人を注意する｡
それはさながら､兄弟喧嘩をする子供を叱る父親のようだった｡年下なんだけど｡

「…仕方あるまい｡今回はお前に譲ってやるさ」
「当たり前だ｡最初からそのつもりだったのだからな｡そして､次もこうして私が勝利するがな」
渋々箸を放すカーズに､DIOは嫌味ったらしくそう返し､自分のものとなったその肉を口へと運ぶ｡
そう終わった戦いに､周りは安堵のため息をつくと､大皿に乗ったおかずに箸を伸ばした｡

大皿に乗っているメインとなっているおかずは豚の生姜焼きだ｡
その理由としては肉が近所のスーパーで特売だったからとプッチが教えてくれた｡
さすがに､私も含めて8人｡そうでなくても､体格の良い男が4人も居れば､量が必要になってくる｡
そうするとやはり､値段の安いものを追うしかないのだろう｡


そこで､とある疑問が頭の中によみがえった｡誰が寝ていた私にキスをしたのか｡
今聞いていいだろうか｡
そう思ったが､今以外に全員が揃っていることもないだろうと思って､その疑問を口にした｡
「あの､寝てるときに…いや､意識は少しあったんですけど｡
そのときに､誰かにキスされたような感じがしたんですけど………」
私の口から出た言葉を聞くなり､むせったり吹き出したりと､三者三様に驚く｡

「お前だろうDIO！Aの入浴中に風呂を覗くような奴だ！お前以外に誰がいる！」
カーズがビシッと指を挿してDIOにそう言えば､
「急に人のせいにしてくるお前も怪しいがな」
と､突っぱねるように即返された｡

「いや､あの…犯人探しをしようとか､そういうことではないので………」
私が言うと､
「でも､不安じゃあないかい？そういうことをする奴と一つ屋根の下ってことに」
プッチが心配そうな顔で見てくる｡
「大丈夫ですよ…いずれ誰かに恋をするんです｡ここの誰かといずれすることになるんですから」
そう返せば､少し気まずそうな顔をした後､「くっ」と唇と噛んで声を漏らした｡


言わない方がよかったのかな､これ………｡

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