【ジョジョ】存在しない女の子【荒木荘】

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このまま､記憶を失くした私に､記憶を失う前はあーだったこーだった言われて､
私は私じゃない誰かに作り変えられるんじゃないだろうか｡
ここの人達に､自分の好みに作り変えられるんじゃないだろうか｡

そしたら､私は私じゃない誰かになって､今の私が失った記憶の中の私もいなくなって､
今の私もいなくなって､ただの人形と化してしまいそうで｡

____怖い｡
思い出せない現状も､記憶を取り戻して今の自分がいなくなるのも､自分が自分じゃなくなるのも｡
怖い､怖い､怖い｡
でも､怖いって思ってるだけじゃ変われない｡

もう変わらなくてもいいかって思ってる私もいるんだけど､
それじゃあいけない気がして｡


でも､でも｡
みんなが好きなのは､今の私じゃないんでしょう？前の私なんでしょう？
それじゃあ､今の私はなんのためにいるの？
私は必要なの？

「大丈夫か？A」
「吉良さん……」
「顔色が悪いが､何か心配なことでも？」
「いえ､大丈夫です……すいません､心配かけて…」

言えない｡言えるわけがない｡
今の私のことなんて､これっぽっちも好きじゃないんでしょう？
なんて､言えるはずもない｡

早くも､ここの人達の優しさに触れて､好きになりかけてる自分がいるのも､認めたくない｡
私はそんなに弱くないんだ｡惚れっぽいわけでもないんだ｡


「Aさん？スタンドが出てるけど､スタンド使えましたっけ？」
ドッピオが指差す背後を見れば､白い､人間ではない何かが佇んでいた｡

「何も悩マナクていい｡何モ怖がラナクテイイ｡あタシハ､アナタの味方ダから｡
ツライのナラ､アたシガ､アナタを守ル」
そう言った後､白いスタンド(それ)は私に近付いていて､私に優しく触れた｡
「空の涙(クライング・レイニー)､ソれがアたしノ名前｡
あタしの名前ヲ呼ベば､アナタの悩みヲ､みんなは"分かってくれる"」
"繰り返シテ"そう言うので､名前を呼ぶと､
周りのみんなが胸を抑えたり､頭を抱えたり､苦しそうにし始めた｡

「何､これ…｡みんな､しっかりして下さい…！」
そう声をかけるも､苦しそうにしたまま応答はない｡

「どうにかならないの!?みんなが苦しんでる！」
自分のスタンドにそう言うが､返ってきたのは､
「アナタを悩マせる者､アナタヲ苦しマセル者｡あタシは全テからアナタを守ルだケ｡
死ニハしない｡大丈夫」
だった｡

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