約束 ページ9
【二人で守ってきた約束】
その一、黒い扉の部屋には入らない。
その二、家事とか何もしなくていいから、家ではずっと僕のそばにいる。
その三、隠し事はなし!何でも相談する。
その四、欲しい物があったら僕に連絡する。
その五、外出厳禁。
以上が『二人で守ってきた約束』の内容だった。
彼は真っ白な紙に、黒ペンでサラサラと書いていく。
最後の約束事に、思わず「えっ」と眉をしかめた。
「外出禁止って…?」
手の平には痺れるような感覚と汗が広がる。
彼はさも当たり前のように、「外に出るなって意味」とそのままを伝え、ペンのキャップを閉じた。
「どれくらいの期間ですか?」
「僕とのデート以外はダメだね。…Aは、喜んでコレ守ってたよ」
彼は用紙を凝視する私の顔を覗き込んできたのが視界の端にぼんやりと映ったが、私は狂気的な約束事から目が離せなかった。
こんな条件を、私が喜んで鵜呑みにしてたの?
外に出ることもなく、ずっとこの家にいたの?
「何で出ちゃいけないんですか?」
「危ないから」
「危ない?」
「僕さ、仕事柄なのか結構憑かれやすいんだよ。この家の中は平気なんだけど、玄関から外が兎に角酷くってさ〜。もし一般人のAが一歩でも出れば…」
「ストップ!やっ、やめてください!」
彼の口を自らの手で塞いだ。
すると、手の平をヌルリと何かがくすぐる。
「きゃっ!?」
咄嗟に身を引くと、私が後ろへ傾いたことを良いことに、悟さんがこちらへ重心をかけてきた。
視界が転倒。
気楽な笑い声と共に、起き上がれないよう容易く抑え込まれた。
「いやぁ、Aって可愛いね。反応が最高」
「あっ、え…あのっ…重いですっ」
「それで退く人なんていないよ。抵抗しなきゃ」
ほらほら、と満悦の様子で彼は笑う。
馬乗りされ、両腕は悟さんの片手に収まって頭上に固定された。何度か腕を振りほどこうと試みたが、ピクリとも動かない。
鼻先が触れ合う距離で見詰められているのに耐えかねて顔を逸らすと、
「ひゃあっ!」
生暖かい何かが首筋を柔らかくなぞった。
「ははっ、ホントに可愛い」
耳元に息がかかって、腰が震える。
足をばたつかせて何とか離れようと試みるが、悟さん本人には何の影響もなかった。
「やめて!やめてくださいっ」
「だから抜け出さないと」
どう考えたって無理だ。現に抵抗は水の泡に終わっている。
「そんな弱いから、外に出したくないんだよ」
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松野星月(プロフ) - コメ失礼します!わー、心に来る。続きがますます気になりました!楽しみに待ってます! (2023年5月4日 16時) (レス) @page37 id: 7e5eb61c5c (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - コメント失礼します!すごく面白かったです!質問なのですが,この作品は完結でいいのですか?内容的に途中だと思うのですが…もし,続きを書く予定があるのなら続きみたいです!更新頑張ってください(^^) (2023年3月21日 14時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - 一般タコピーさん» 返信遅れてごめんなさい!コメントありがとうございますっっ!!身に余るお言葉ですがめっっっちゃくちゃ嬉しいです(/Д`;💕︎ 不定期になってしまいますが、更新頑張ります!- ̗̀( ˶^ᵕ'˶)b (2022年12月19日 13時) (レス) id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
一般タコピー - 神作品だ!作者様の文才が素晴らしくて一気に読んでしまいました!更新頑張ってください! (2022年12月15日 18時) (レス) id: e79aa4edc0 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - あさん» 嬉しいです!!ありがとうございます!私も好きです!!!(唐突) (2022年12月13日 17時) (レス) @page36 id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のんのんた | 作成日時:2021年10月4日 4時