改めて ページ7
リビングへ向かうと、背を向けてソファに座っていた悟さんが、振り返って「おかえりぃ」と微笑んだ。
「ただいま」と返すのも小っ恥ずかしくて、何も答えられるず軽く会釈を返す。
彼と私の関係は恋仲だと聞かされたが、今の私の認識上、初対面の男女である。
彼が疑った�犁�憶喪失�瓩噺世Δ發里世蹐Α�
最初で最後の記憶は、あの寝室で目覚めた時だ。
人には親という存在がある。そんな当たり前のことは知っている。しかし、私の記憶には�犹笋凌騰瓩�存在しない。
たった本日あのベッドで生まれました、と言われてもきっと疑問を持たなかったと思う。それほど私の記憶は根本から欠如していた。
悟さんのことも、ここに来る前の家の記憶も、何もかも真っ白だ。
とりあえず座ろうとソファーへ近付くと、彼は右へ詰めるようにずれた。
もちろん、彼が座っている所以外にも、対局して別のソファーがある。私はそこに座ろうとしたのだが、隣へ座れと言わんばかりに詰め寄って、あからさまなスペースを空けるので、仕方なく、またぎこちなく彼の隣に腰を下ろした。
「すみません、悟さん。聞きたいことがあるんですけど」
彼は背もたれに腕を預け、「なぁに」と気の抜けた声を返す。
「私、悟さん以外の記憶もないんです。家族がいたのかも、全然…その、全部覚えていなくて」
「そうみたいだね。僕のこと忘れてるって知った時は本当に悲しかったよ」
「申し訳ないです…」
「いいや？Aが気を負うことはないよ。ゆっくりでもいいから、また僕のこと好きになって貰えるように頑張るね」
「好きに…ですか…」
「その感情も忘れてる感じ？」
「いいえ、常識的な知識というか、そういうのは覚えてるんです。それ以外のことはマッサラで…」
「なるほどね」
「だからか」と、悟さんは一人腑に落ちる。
「だから、僕との�猝鸞��畴砲辰燭鵑世諭�
「や、やくそく？」
「うん、あの扉。あそこには近付かないでって口酸〜っぱく言ったのに」
あの扉、とは私が唯一入れなかった黒い扉のことだろう。厳密にセキュリティが施されていて、見るからに曰く付きのような雰囲気が溢れていた。
忘れてしまっているとはいえ、人と約束してまで侵入を拒んでいた所へ踏み込もうとした事実には罪悪感が溢れた。
「ご、ごめんなさい」
「ううん、記憶喪失だもんね。次から気を付けてくれれば良いからさ」
______でも、次はないよ。
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松野星月(プロフ) - コメ失礼します！わー、心に来る。続きがますます気になりました！楽しみに待ってます！ (2023年5月4日 16時) (
レス) @page37 id: 7e5eb61c5c (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - コメント失礼します！すごく面白かったです！質問なのですが,この作品は完結でいいのですか？内容的に途中だと思うのですが…もし,続きを書く予定があるのなら続きみたいです！更新頑張ってください(^^) (2023年3月21日 14時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - 一般タコピーさん» 返信遅れてごめんなさい！コメントありがとうございますっっ！！身に余るお言葉ですがめっっっちゃくちゃ嬉しいです(/Д`;💕︎ 不定期になってしまいますが、更新頑張ります！- ̗̀( ˶^ᵕ'˶)b (2022年12月19日 13時) (レス) id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
一般タコピー - 神作品だ！作者様の文才が素晴らしくて一気に読んでしまいました！更新頑張ってください！ (2022年12月15日 18時) (レス) id: e79aa4edc0 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - あさん» 嬉しいです！！ありがとうございます！私も好きです！！！(唐突) (2022年12月13日 17時) (レス) @page36 id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のんのんた | 作成日時：2021年10月4日 4時
