青い瞳 ページ26
息苦しさに目が覚めた。
ぼんやりと霞んだ視界の隅に映った白い髪が、頬を掠めてくすぐったい。
ソファーの上で仮眠を取っていたのに、目が覚めたのはすっかり日が落ちてからだった。
悟さんは帰宅していたようで、私に覆い被さってしがみついている。その重さで起きたのだ。
「おかえりなさい…」
「ただいま」
…のちゅー、と言って彼は唇を押し付けてくると、チウと音を鳴らす。
毎度の事ながらの突然な行動に驚いたけれど、どこか安心している自分がいた。
「メッセ見たよ。ごめんね、一人じゃ怖かったでしょ。」
そう言うと、悟さんの大きな手が頭を柔らかく撫でた。
穏やかな声色にじわじわと涙腺が熱くなったのを感じ、彼の背中に手を回した。
「よしよし、よく頑張ったね。大丈夫、僕はここにいるよ。」
言葉一つ一つに温度を感じて、ついには彼の服を濡らした。
鼻をすすると、悟さんの匂いがふっと入ってくる。
そうして、泣き止むのをただ抱きしめて待っててくれた。
「大丈夫？」
やっと落ち着いた頃、悟さんは私の顔を覗き込む。
黙って頷くと、彼は笑ってヨシヨシとまた頭を撫でた。
「すみませんでした…急に…。」
「いいや？ 可愛かったからいいよ。」
コツンとくっつけた額。
空にかざしたガラス玉のように、キラキラと光った瞳。
「…近いです。もう、どいてくださいっ」
「なんで。僕の話がまだ終わってないからダメ。」
「え、話…？」
なんだろう、と彼の瞳を見返すと、目がふっと細まった。
「今日いい子にしてた？」
チラついた、硝子さんの手紙。
「…ずっと寝てましたよ。」
「ふーん。ね、誰か来なかった？」
心臓に一突き、つららで刺されたような感覚が走る。
悟さんは、どこまでも見透かしたような目で私を映した。
先程まで強く抱きしめていたのにも関わらず、今は早く逃れたいとさえ思った。
「…寝てたからわからないです、ごめんなさい。」
細めていた目が、ゆっくりと閉じる。
そしてまた開けると、鋭い視線へと変わっていた。
「……硝子。」
と悟さんは零すと、頬にピリッと痺れが過ぎる。指先が小さく震えたが、必死に握りしめて隠した。
「女の人、来なかった？」
彼は、私に被さっていた身を起こし、腹部に跨って腰をかけた。
「うっ…」
「ね、来なかった？」
そのままジワジワと体重を掛けて、徐々に内蔵が圧迫され、次第に浅い呼吸を繰り返す。
「しら、ないです」
「へぇ…？」
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松野星月(プロフ) - コメ失礼します！わー、心に来る。続きがますます気になりました！楽しみに待ってます！ (2023年5月4日 16時) (
レス) @page37 id: 7e5eb61c5c (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - コメント失礼します！すごく面白かったです！質問なのですが,この作品は完結でいいのですか？内容的に途中だと思うのですが…もし,続きを書く予定があるのなら続きみたいです！更新頑張ってください(^^) (2023年3月21日 14時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - 一般タコピーさん» 返信遅れてごめんなさい！コメントありがとうございますっっ！！身に余るお言葉ですがめっっっちゃくちゃ嬉しいです(/Д`;💕︎ 不定期になってしまいますが、更新頑張ります！- ̗̀( ˶^ᵕ'˶)b (2022年12月19日 13時) (レス) id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
一般タコピー - 神作品だ！作者様の文才が素晴らしくて一気に読んでしまいました！更新頑張ってください！ (2022年12月15日 18時) (レス) id: e79aa4edc0 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - あさん» 嬉しいです！！ありがとうございます！私も好きです！！！(唐突) (2022年12月13日 17時) (レス) @page36 id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のんのんた | 作成日時：2021年10月4日 4時
