朝 ページ12
夢を見た。
同じ夢だ。誰かが私の上に跨り、首を絞めている。
やはり体は指先さえ動くことはない。
「ごめんね」という涙と共に落ちた言葉を最後に、首元を包んだ手に体重がかけられる。
首に伝った重い衝撃と共に、目が覚めた。
浅い呼吸と忙しない鼓動を落ち着かせるように、深く息を吸い込んで吐き出す。
カーテンの合間から漏れた光が目にしみて、身を捩って背を向けた。
隣に、悟さんの姿はない。
意味のない寝返りを繰り返し、軽く背伸びをしてベッドから出る。
先に起きたのかとリビングへ向かうと、テーブルには置き手紙の上にスマートフォンが添えられていた。
『何か欲しいものあったら連絡してね。寂しくなったら電話でも可♡』
手紙の隅に彼らしきミニキャラが、にこやかにピースサインしているイラストが歪に描かれている。
仕事に出かけたのか。
そう思ってスマホを手に取った瞬間、着信音が響いて思わず身を縮めた。
画面には【ダーリンからメッセージが届きました】の文字。
ふざけた登録名に苦笑しつつ、内容を確認する。
登録名の『ダーリン』とは、恐らく悟さんのことだろう。
『おはよ〜!ご飯はデリバリー頼んどいたから届くと思うよ!配達員が来たらエントランスだけ開けてあげてね。玄関配達だから対面しなくて大丈夫。
僕は早めに帰れるように頑張る。早く会いたい。』
彼の行き届いた気配りに関心していたが、後半の内容が照れくさく返信の言葉を詰まらせた。
とりあえずと思い、キーボードを開いて無理矢理にでも打ち込む。
『おはようございます。
デリバリーの手配もありがとうございました!
お仕事頑張ってくださいね!
お帰りを心待ちにしています。』
送った途端に既読が着く。
黒い目隠しをしたシロクマが、グッと親指を立てるスタンプが送られてきた。
お友達欄には、案の定彼の名前しか載っていない。
彼のアイコンには、3人の少年少女と一緒に仲睦まじく写り込む悟さんの姿があった。
赤いフードを着た男の子と、黒髪の男の子と、茶髪の女の子。
皆制服を身につけているし、生徒さんかな。
でも悟さんのお仕事って、除霊関係のような…。
臨時か何かで先生でもやってたのかな、とぼんやりと考えながら設定画面を開き、登録名を【悟さん】に改めて画面を落とした。
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松野星月(プロフ) - コメ失礼します!わー、心に来る。続きがますます気になりました!楽しみに待ってます! (2023年5月4日 16時) (レス) @page37 id: 7e5eb61c5c (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - コメント失礼します!すごく面白かったです!質問なのですが,この作品は完結でいいのですか?内容的に途中だと思うのですが…もし,続きを書く予定があるのなら続きみたいです!更新頑張ってください(^^) (2023年3月21日 14時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - 一般タコピーさん» 返信遅れてごめんなさい!コメントありがとうございますっっ!!身に余るお言葉ですがめっっっちゃくちゃ嬉しいです(/Д`;💕︎ 不定期になってしまいますが、更新頑張ります!- ̗̀( ˶^ᵕ'˶)b (2022年12月19日 13時) (レス) id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
一般タコピー - 神作品だ!作者様の文才が素晴らしくて一気に読んでしまいました!更新頑張ってください! (2022年12月15日 18時) (レス) id: e79aa4edc0 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - あさん» 嬉しいです!!ありがとうございます!私も好きです!!!(唐突) (2022年12月13日 17時) (レス) @page36 id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のんのんた | 作成日時:2021年10月4日 4時