となりの××事情。2

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「好き、ねぇ……。

いきなりどーしたの、Aさん」






「……別に。ただ気になったんです」






「なにそれ。

俺も恋したことないから、そういうのよくわからねぇ」









ああ、まただ。









最近、船津稜雅がやたら恋愛経験ありませんアピールをしてくる気がする。









「つまり今まで、

女性とは身体だけのお付き合いだったってことですか？」





「……ん？え、なぜそうなる？」





「いやだって、そうでしょう」





「いやいやちょっと待て。

前にも言ったけど、俺彼女いたことないんだけど」





「だから、身体だけのお付き合いだったんでしょう？」






「それもない。俺童貞だから。

恥ずかしいから言わせるな」







「……ほう」









なんだ、この会話。









というか、船津稜雅が童貞ってまじな話だったのか。普通に嘘だと思ってた。









信じられない。30代後半にしてハゲ始めてしまった私のお父さんに髪の毛が生えること並みに信じられない。









「恋とか楽しいんだろうな。

俺の友達がさ、彼女できて毎日のろけてくんの。しかも結構可愛いらしい」






「そうなんですか？」






「うん。素直にうらやましい。

いいな〜彼女〜」






「船津稜雅なら、

その気になればすぐにできると思いますけどね」









告白したら誰でもオッケーしてくれると思いますよ、とちょっぴり嫌味っぽく言ってやると、船津稜雅が素っ頓狂(すっとんきょう)な顔をする。









「……本当にそう思う？」





「え、はい」









例えば、伊藤さんとか伊藤さんとか伊藤さんとか。









「ほんとに？」





「はい」





「ふーん。なら、付き合おう」






「はい」









…………はい？









「付き合おっか、俺たち」









まるで、遊びに行こっか、とでも言いたげに。









船津稜雅が、呟いた。









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