39粒 ページ4
Aside
例の水色の和服に着替えた私は、彼が待つ和室に入った。
時間的にはもう夜中だから、室内の灯りはぼんやりと光る行灯一つだけ。
貴「……それで、話って?」
雲雀恭弥と向き合うように座った私は、間髪入れずに本題に入った。
雲「……君、笹川了平に懇願された時、元から協力する気だって言ったよね」
貴「言ったわね。それがどうしたの?」
雲「それ、本当かい?」
雲雀恭弥は疑うように───というより、私の本心を見据えるかのように、真っ直ぐに私を見る。
貴「本気も何も、そうするしかないでしょう?事態はそれ程にまで深刻なのだから」
雲「そう思うことで、君は流れに身を任せているだけじゃない?」
貴「……私が流されてると言いたいの?」
雲「自分からそう言うということは、少しは自覚があるのかな」
貴「……」
雲「……A。君にはやりたい事は無いのかい?」
黙らせるために冷気を出したにも関わらず、雲雀恭弥はそう言いのける。
───どうやら、十年後の私は結構親しくしていたみたいね。
私は仕方なく冷気を鎮めて俯き、少しだけ本音を語った。
貴「……やりたい事なんて無いわ。それどころか欲するものすら無い」
雲「A……」
貴「貴方が何をどこまで知ってるかは知らないけど、知ってる事があるならその問いは無意味よ。
私に欲は無い。だから何かをしたいとも、元いた世界に戻りたいとも思わない」
そう。私は元の世界には戻らない。
だってもう、あの世界は───────
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雪碑(プロフ) - 尾崎紅葉さん» ありがとうございます!頑張って更新していきます! (2018年6月7日 9時) (レス) id: b7292c31eb (このIDを非表示/違反報告)
尾崎紅葉 - イエイッ!!!!ありがとうございます!楽しみにしてます! (2018年6月7日 8時) (レス) id: f02ea9a8e7 (このIDを非表示/違反報告)
雪碑(プロフ) - 尾崎紅葉さん» 一応、原作のラストの後にオリジナルのストーリーをやって終わらせる予定です。 (2018年6月6日 22時) (レス) id: b7292c31eb (このIDを非表示/違反報告)
尾崎紅葉 - この小説って、代理戦まで続きますか?! (2018年6月6日 21時) (レス) id: f02ea9a8e7 (このIDを非表示/違反報告)
雪碑(プロフ) - 黒猫♪♪さん» ありがとうございます!今後も頑張って更新していきます! (2018年5月6日 16時) (レス) id: 12c252c2e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪碑 | 作成日時:2018年5月1日 23時