炎の世界に舞い降りし氷の乙女＊氷柱＊

57粒 ページ22

Aside





フェ「バウ！バウ！」









　


フェンは目の前の奇妙な球心態にそれに噛み付つくけれど、球心態には僅かに歯形がつくだけで一向に砕けない。








　





───あの二人はこの中で戦いを繰り広げている。どんな戦いをしているかは知らないけど。






　








貴「これ、なんだか私の力と似ているわ。あまり長く留まると、酸欠状態になる仕組みね」






　








どうしてこんな、リスクのある技を使うのやら……。







　







───人って昔から不思議ね。いつだって何かのために自らの身を犠牲にする。
死んだら何も残らないというのに。









　




まぁ、それが出来るのは彼らのような力のある者だけで、他はそうでもないけれど。









　





貴「遅いわね……いっそ思いっきり壊そうかしら。彼の意志は尊重してあげたいけれど」








　






言いながら槍よりも鋭いつららを何本も作っていると、いきなり奇妙な球心態が爆発した。







　





フェ「クンクンクン……ワン！ワン！」


貴「フェン？」


　









さっきまで暴れ回っていたフェンが鳴き出したと思うと、煙の中から見知った姿の少年───十年前の雲雀恭弥が欠伸をしながら起き上がった。






　







雲「誰だい？僕の眠りを妨げる者は」

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