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106 N Route ページ8

隆弘side





あれから何時間経っただろう。





気がつけば窓の外は日が傾いていて空がオレンジ色に染まっている。





真「A、風邪ひいてるんやって」





隆「それにしても…誰だよ最後に話した奴…Aは男の家にいんのか!?」





吐き捨てられるように聞こえたあの男の言葉に俺はあれから完全に自分を見失っていた。





あの声とあの口調…それを思い出すだけでぐっと拳を握る力が強くなる。





真「一旦落ち着けって。にっしーも過労で倒れた身なんやで…しっかり休まんと」





隆「だから!!」





看「どうされました?ご気分悪いですか?」





俺の怒鳴り廊下で声を聞いた看護士が病室に入ってきた。





真「いや、なんでもないで…………」





皆を発する前に顔を上げると言葉に詰まったような真司郎。





その真司郎を見ると看護士を見て固まっていた。





隆「真司郎、どうしたんだよ」





そう呼びかけても真司郎は銅像の如く一切動かなかった。





その視線の先にいる看護士に目を向けると、彼女もまた驚いた様子で真司郎を見ていた。





2人とも" 何故ここにいるの "と言いたげな表情で。





真「実彩子…」





実「真司郎…」





姿を消した彼女だった。





我を忘れていたから分からなかったが、言われてみればそうだ。





この人だ。





一気に重苦しい空気がその場に漂い、外の風が突如吹き荒れる。





真「にっしー、少しの間一人にしてもええか」





数秒間の間を置き、低く冷たいトーンで話す真司郎。





今までの思いをぶつける機会でもあろう。





どれだけ真司郎が苦労してきたか。





それらを考えるとNOとは言えない。





いや、そんな権利は俺にはない。





隆「あぁ…」





真「実彩子、ちょっとええか」





真司郎は下を向いて呟いた。





きっと溢れる感情を堪えているんだろう。





実「……うん」





否定する素振りなんて全く見せないで彼女は頷く。





そして真司郎は重たそうに立ち上がり、病室を出ていき、実彩子さんもその後ろについて出ていくのを見つめた。

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さな(プロフ) - 続き気になります! (2018年1月28日 13時) (レス) id: 84822f85a8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーちゃ(プロフ) - HIYOさん» HIYOさんコメントありがとうございます;; そう言ってもらえて嬉しい限りです! これからも頑張ります! (2017年9月23日 18時) (レス) id: d33df34a1f (このIDを非表示/違反報告)
HIYO(プロフ) - しんちゃんオチ、1話しかまだ見てないないのにこれからが楽しみです!頑張って下さい! (2017年9月19日 20時) (レス) id: 6a477f4663 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーちゃ(プロフ) - ちぃさん» ちぃさんコメントありがとうございます! リクエスト、お応えします!より良い作品になるよう頑張りますので待っていてください! (2017年7月4日 19時) (レス) id: d33df34a1f (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ - すごいおもしろかったです!AAAで兄妹恋愛みたいなのも作って欲しいです! (2017年7月2日 20時) (レス) id: 4bafe48f70 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆーちゃ | 作成日時:2017年6月12日 19時

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