甘く。強く。―３―

１００ N Route ページ2

真司郎side





真｢かろー？｣





仕事を休み、今日はにっしーの看護をすることにした。





医｢はい、過労です。しっかりご飯を食べてしっかり休めば数日で退院できるでしょう｣





真｢あ、そうですか｣





医者から呼び出しがあってにっしーの容態を聞いた。





医｢それでは｣





聴診器を首にかけながら軽い会釈をして部屋を出ていく。





とりあえず良かった。





でも、ここ最近にっしーが何しとったか分からへん。





ご飯食べる時にしか会わへんようになって、なして家に帰らんのか聞いてみてもいつも濁されて。






正直心配しとった。





いくらAが近くにおってもにっしーがおらんと俺じゃない気がしてならへんかった。





久々に帰ってきたと思ったらずぶ濡れやし、いきなり倒れるし。





起きたら話聞こう。





にっしーの寝顔を見ながら思った。





いつでも側におってくれたんはにっしーやった。





俺が彼女を失った時もずっと俺を支えてくれとった。





俺はそんなにっしーの優しさに頼りすぎてたかも知れへん。





隆｢……ん｣





真｢にっしー？｣





名を呼ぶとにっしーはゆっくり目を開けた。





真｢にっしー、わかるか？ここ病院やで｣





隆｢……病院？｣





真｢せや、にっしー、過労で倒れたんやで｣





そういうとにっしーはトロンとしていた目を擦りながら。
 




隆｢Aは？｣





全く、自分がこんな状態になってるのにAの心配なんか。





なんて考えながらも。





真｢Aは、わからへん｣





隆｢どういうこと？｣





真｢昨日から全然連絡が取れへん｣





隆｢えっ！？｣





勢いよく上体を起こし驚きに溢れた表情を見せた。





真｢会社に問い合せたら休むって言ったらしくて｣





隆｢……嘘だ｣





その声は焦燥感で帯びていた。





真｢ほんまやって｣





真ん前を向いたまま目を泳がせるにっしー。





真｢とりあえずにっしーは休んどかなあかんで｣





隆｢だめだ、俺…｣





Aの話をした途端に落ち着きが無くなったにっしー。





真｢何があったんか、説明せや｣




少しの間があってからにっしーは頷き、話し始めた。

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