小さな芽吹き ページ50
この会社で働き始めてから、もう1年と半年以上が経つ。
仕事に復帰してから約1ヶ月、改めてみんなの包むような優しさを実感する今日この頃。
本当に、感謝ばかりしている。
彼らに出会えていなかったら、今頃私は私を諦めて、あの子を追っていただろうから。
前よりも彼らに寄りかかることや甘えることが増えて、それも全て柔らかく受け止めて、そばに居るからと笑ってくれる。
優しすぎるほど優しい彼らはきっと、そんなことないよ、と言うだろうけど。
だけど私にとっては人生で2度目の、本当の優しさをくれた人達だったから。
須貝「…でさ、そしたら…」
山本「あ、ね、須貝さん、Aちゃん寝ちゃいそう…笑」
A「…ん〜…」
須貝「眠いか、最近ちょっと忙しかったもんな」
山本「もう大分あったかくなってきたしね〜」
乾「仮眠とってきたら?起こしてあげるから」
A「…や…ひとりさみしいもん…」
須貝「ふは、じゃあこのままちょっと寝な、俺らここ居るから」
A「ん…」
もう目は閉じかけてしまって、手探りで誰かの服の裾を掴んだ。
お?と反応した声は…須貝さんかな、たぶん。
ああ、けど、合ってるかも確かめられないくらいに眠たい。
おやすみ、と聞こえた誰かの声と、握りこんだ手を包むように覆った温もり。
落ちていく意識の端っこで、幸せだなあ、と独り言ちる。
暖かくて、安心できて、離れ難い場所。
これまでの何かひとつでも欠けてしまえば届かなかった、私にはもったいないくらいの、安らぎと幸福感。
そう、それはまるで、春の陽だまりのような_____
こう「…あれ、Aちゃんどしたの?」
福良「休憩中?」
須貝「うん。さっきな、寝ちゃったわ」
伊沢「安心した顔してんなあ笑」
乾「嬉しいですね、こんなに預けてくれるの」
山本「最近ちょっとずつ増えてるね」
須貝「な、ホント。…やっぱまだ、もう少しはこのままでいるべきなんだろうな」
福良「…まあ、Aちゃんが幸せなのが1番だしね」
山本「元からみんな、待つ気満々でしょ?笑」
伊沢「実際そうなんだよな笑」
須貝「急ぐつもりも急かすつもりもないわな、せっかくここまで歩み寄ってくれてんだから」
こう「混乱させるのも望んでないしね」
河村「ゆっくり行こう、我々らしく」
伊沢「…もう、春か」
陽だまりの中で、小さな種が、
今、芽吹こうとしている。
その花弁は、何色に染まるのだろうか。
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イトタク - 初めまして、私は、izwさんとのハッピーエンドがいいです。小説、すごくいいです。更新、楽しみにしています。ゆっくりでいいです。 (2021年8月15日 22時) (レス) id: e586254f05 (このIDを非表示/違反報告)
満月(プロフ) - 初めまして!作者様が大変になり、途中で挫折してしまわれるくらいならiniさんで。もし、可能でしたら全員分読めたら…嬉しいです。 (2021年8月13日 21時) (レス) id: 3f82b6a714 (このIDを非表示/違反報告)
kk - 初めまして。この作品本当にキュンキュンしながら読ませていただいてます。私はiniさんエンドが見たいです!更新楽しみにしてます!頑張ってください♪ (2021年8月11日 0時) (レス) id: 9f03f88fd9 (このIDを非表示/違反報告)
のどか(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく拝読しております!!sgiさんエンド希望です!!続きの更新も楽しみにしています! (2021年8月10日 23時) (レス) id: 651585f874 (このIDを非表示/違反報告)
め - sgiさんがいいです! (2021年8月9日 15時) (レス) id: 2dc5815af2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきみ。 | 作成日時:2021年1月9日 18時