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手向けるのは ページ39

山本side


淡々と話したAちゃんは、意図的に感情を出さないようにしているように見えた。

多分、一度出してしまえばそれに呑まれてしまうから。


A「…今回は本当に、申し訳ありませんでした」


立ち上がって深々と頭を下げた彼女に、伊沢さんでさえも「頭上げてよ」と言ったきり、口を閉ざす。
沈黙の中、彼女は誰とも目を合わせようとしない。


考えろ、僕に何が出来る?何を言ってあげられる?

その時ふと、前に彼女が言ってくれた言葉を思い出した。


山本「…」

A「わ、」


歩み寄って、怖がらせないようにゆっくりと引き寄せた。
突然のことに少し強ばった僕より小さな体を包んで、前のようにやさーしく頭を撫でる。


山本「…大丈夫。大丈夫だよ…」


僕にはこんなことしかできないけど、それが少しでも君の心を解せるのなら。


山本「もう大丈夫。もうこんなことは二度とないよ。僕らがいるから、守らせてね。大丈夫…」


どこまでも苦しんで悲しんでボロボロになってしまった彼女が手向けられるのは、もう優しさだけでいい。そうあって欲しい。


山本「…こわい?」


自分の中で一番穏やかな声でそう問うと、小さく首を横に振ってくれた。


A「…ここの人たちは、大丈夫です」

山本「そっか。ほっぺたも痛かったね…」

A「…いたかった、…っ」

山本「うん。ちゃんと言っていいんだよ、痛いって。そしたら僕らがめいっぱい手当てしてあげる。怖いって言ったらずっとそばにいるよ」

A「…こわかった、っこわかったぁ…っ」

山本「よしよし…怖かったね、ちゃんと言えたね」


その時初めて、彼女の腕が僕の背中に回った。
まだ遠慮がちだけど、きゅっと服を握ってくれたのが分かった。


山本「こうちゃん達を守ってくれてありがとうね、今度はAちゃんのこと守らせてね。ここにいる皆、Aちゃんのことほんとに大事だからね」


その言葉に頷いてくれた彼女を、それまでより少し強く抱きしめた。

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イトタク - 初めまして、私は、izwさんとのハッピーエンドがいいです。小説、すごくいいです。更新、楽しみにしています。ゆっくりでいいです。 (2021年8月15日 22時) (レス) id: e586254f05 (このIDを非表示/違反報告)
満月(プロフ) - 初めまして!作者様が大変になり、途中で挫折してしまわれるくらいならiniさんで。もし、可能でしたら全員分読めたら…嬉しいです。 (2021年8月13日 21時) (レス) id: 3f82b6a714 (このIDを非表示/違反報告)
kk - 初めまして。この作品本当にキュンキュンしながら読ませていただいてます。私はiniさんエンドが見たいです!更新楽しみにしてます!頑張ってください♪ (2021年8月11日 0時) (レス) id: 9f03f88fd9 (このIDを非表示/違反報告)
のどか(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく拝読しております!!sgiさんエンド希望です!!続きの更新も楽しみにしています! (2021年8月10日 23時) (レス) id: 651585f874 (このIDを非表示/違反報告)
- sgiさんがいいです! (2021年8月9日 15時) (レス) id: 2dc5815af2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆきみ。 | 作成日時:2021年1月9日 18時

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