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気が付けば左頬がすごく痛くて、あの人は警察に取り押さえられていた。

一気に膝の力が抜けて、その場に座り込む。


こう「Aちゃん!」


こうちゃんが駆け寄って顔を覗き込んでくるけど、うまく反応出来ない。


福良「Aちゃん、Aちゃん落ち着いて。ゆっくり息吸える?」


福良さんも近付いてきた気配がしたけど、喉に何かがつかえたみたいに声が出ない。


A「ひっ、はぁ、っ…!」

福良「過呼吸だな…Aちゃん聞こえる?もう大丈夫だからね」


声は聞こえるのに何を言っているか分からなくて、視界はぼやけて、息が上手くできない。


伊沢「福良さん、こうちゃん!」

こう「伊沢さん…!Aちゃんが過呼吸で」

福良「俺の声聞こえてないみたい」

伊沢「…Aちゃん、ちょっとごめんな」


何か暖かいものに包まれた。
ぎゅっと体が寄せられて、抱き締められた、とぼんやり分かった。


伊沢「大丈夫大丈夫…ゆーっくりでいい。一緒に呼吸しような。吸ってー…はいてー…」


耳元で、はっきりと伊沢さんの言葉が聞こえた。

ああ、きてくれたんだ、忙しいはずなのに、私のために。


A「っはぁ、は、」

伊沢「そう、上手。もう俺らしかいないよ、アイツはいない。大丈夫…」


呼吸が少し落ち着いて段々と思考がはっきりしてした。
ぎゅう、とさらに抱き締められて、頭を撫でられる。


伊沢「怖かったな、よーく頑張った…ごめんな」


申し訳なさそうな声に首を振る。
ゆっくり瞬きをすると頬を涙がつたって、ぼやけていた視界がクリアになる。
伊沢さんの肩越しに見える福良さんとこうちゃんの顔は悔しそうに歪められていた。


ああ、そんな顔しないで、たくさん助けてもらったのに。


そう言いたかったけど2人に届くくらいの声は出なくて、もう一度首を横に振ることしか出来なかった。


伊沢「…これから3人とも警察署で事情聴取だろうから、それまで頑張れるか?」

A「…ん」

伊沢「ん、よし」

A「いざわさ、」

伊沢「ん?」

A「…も、ちょっとだけ、」

伊沢「…うん。このままな」


頷いて背中をさすってくれる伊沢さんの服をきゅっと掴む。


そのぬくもりは、やっぱり優しかった。

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イトタク - 初めまして、私は、izwさんとのハッピーエンドがいいです。小説、すごくいいです。更新、楽しみにしています。ゆっくりでいいです。 (2021年8月15日 22時) (レス) id: e586254f05 (このIDを非表示/違反報告)
満月(プロフ) - 初めまして!作者様が大変になり、途中で挫折してしまわれるくらいならiniさんで。もし、可能でしたら全員分読めたら…嬉しいです。 (2021年8月13日 21時) (レス) id: 3f82b6a714 (このIDを非表示/違反報告)
kk - 初めまして。この作品本当にキュンキュンしながら読ませていただいてます。私はiniさんエンドが見たいです!更新楽しみにしてます!頑張ってください♪ (2021年8月11日 0時) (レス) id: 9f03f88fd9 (このIDを非表示/違反報告)
のどか(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく拝読しております!!sgiさんエンド希望です!!続きの更新も楽しみにしています! (2021年8月10日 23時) (レス) id: 651585f874 (このIDを非表示/違反報告)
- sgiさんがいいです! (2021年8月9日 15時) (レス) id: 2dc5815af2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆきみ。 | 作成日時:2021年1月9日 18時

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