守りたいもの ページ30
こうside
こう｢Aちゃん、電話鳴ってるよ｣
A｢あ〜…大丈夫です、これは｣
こう｢？、そう…｣
思えばその時から様子がおかしかった気がする。
いそいそとスマホをポケットにしまうAちゃんに、俺を含めたその場にいた人は多分みんな違和感を感じたと思う。
けど次の瞬間には元通りだったから、あまり気にはしていなかった。
あの時もう少し踏み込んで聞いていれば、なんて、伊沢さんに連絡をしながらそんな後悔がのしかかる。
福良さんも含めた三人でお昼を食べてオフィスに戻る帰り道、オフィスの入ったビルの前の人影を見て、Aちゃんの足が止まった。
｢あ、やっぱりここで合ってたわ笑なんで電話無視すんの？｣
福良｢…知り合い？｣
A｢…｣
ニヤつきながら近づいてきた男に怯えるように体を縮こまらせたAちゃんに、福良さんが小さく問いかける。
Aちゃんは僅かに頷いたものの、口を開こうとしない。
こう｢…あの、どちら様ですか？｣
元彼｢あぁ？彼氏ですよ、今は一旦"元"ってことになってますけど｣
A｢…何しに、来たんですか｣
元彼｢Aが電話出ないからさ、色々探したら見つけたんだよね〜、ココ｣
その口ぶりに先日の違和感の正体が繋がって、同時にAちゃんがいつかの談話室でちらりと口にしていた例の元彼の話を思い出した。
…もしかしてこれ、結構やばいんじゃないの？
元彼｢ねぇ、俺結構探したよ？番号も住所も変わってたし。まあ番号はお前のこと知ってる奴に聞き回って分かったけどさ、今度新しい家にも入れてくれな｣
A｢…かえって、ください｣
元彼｢あ？…ショックだな〜、ちょっと会わない間にそんな冷たくなっちゃうんだ、ただでさえ俺お前に裏切られて傷ついてるのに｣
福良｢…こうちゃん、伊沢に連絡して。あと警察｣
こう｢はい｣
小声で聞こえた福良さんの声。
心配でたまらないけど、一旦その場を少し離れて携帯を操作する。
元彼｢ねえA、少し話すくらいいいじゃん｣
A｢…私は何も話すことはありません｣
元彼｢なあ、こっちこいって｣
A｢やめて、来ないで…っ｣
福良｢Aちゃんこっちおいで｣
元彼｢は？お前は関係ないだろ｣
福良｢この子はうちの社員です、困っているのを見逃すことはできません。お引き取り願います｣
Aちゃんに触れようとする男から福良さんがAちゃんを遠ざけて、自分の背中に隠すように立った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 426人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イトタク - 初めまして、私は、izwさんとのハッピーエンドがいいです。小説、すごくいいです。更新、楽しみにしています。ゆっくりでいいです。 (2021年8月15日 22時) (
レス) id: e586254f05 (このIDを非表示/違反報告)
満月(プロフ) - 初めまして！作者様が大変になり、途中で挫折してしまわれるくらいならiniさんで。もし、可能でしたら全員分読めたら…嬉しいです。 (2021年8月13日 21時) (レス) id: 3f82b6a714 (このIDを非表示/違反報告)
kk - 初めまして。この作品本当にキュンキュンしながら読ませていただいてます。私はiniさんエンドが見たいです！更新楽しみにしてます！頑張ってください♪ (2021年8月11日 0時) (レス) id: 9f03f88fd9 (このIDを非表示/違反報告)
のどか(プロフ) - はじめまして！いつも楽しく拝読しております！！sgiさんエンド希望です！！続きの更新も楽しみにしています！ (2021年8月10日 23時) (レス) id: 651585f874 (このIDを非表示/違反報告)
め - sgiさんがいいです！ (2021年8月9日 15時) (レス) id: 2dc5815af2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきみ。 | 作成日時：2021年1月9日 18時
