順番待ち ページ24
福良side
最近、みんなの雰囲気が少しだけ変わった。
乾はこの前猫カフェじゃなくて水族館に誘ったみたいだし、須貝さんも「お兄ちゃん」するのやめたみたいだし。
山本やこうちゃん、河村と伊沢だって、前とは少し違う。
まあ、そんなみんなの矢印の先に居るあの子は、あんまり気付いてないみたいだけど。
そんな彼女は今休憩中で、乾とこうちゃんの言い合いに挟まれて少し困ってる。
あ、今須貝さんが回収しに行った。
ほら、こんな感じだからさ?
俺はまだ順番待ちかなぁ、なんて。
A「福良さん〜、この資料なんですけど」
福良「ん〜?」
休憩が終わって、Aちゃんも仕事モード。
俺の目と資料を交互に見ながら一生懸命に話をするAちゃんを、気付かれない程度に見つめる。
俺はAちゃんの過去の話を聞いた日、須貝さんのように大した言葉も言えなければ、乾みたいに行動することもできなかった。
けどその日の解散前、幾分か血色の良くなった顔をふにゃりと緩めて、あの子は俺に言ってくれた。
A「福良さん、ありがとうございます」
福良「?、…俺はなんにもしてないよ」
そう返した俺に、彼女はふるふる首を振った。
A「ううん。福良さんがね、いつも頭撫でてくれるでしょ?」
福良「うん」
A「あれのおかげでいつも頑張れるし、何となく安心できるんです。ああ、私ここに居ていいんだぁって」
福良「…何言ってんの、いなくなったら困るよ」
俺らがどれだけAちゃんに支えられてると思ってるの。
A「だから、ありがとうございます」
そう微笑む彼女を、どうしようもなく抱き締めたくなった。
けどそんな勇気はなくて、結局いつも通りその頭を撫でる。
ねえ、そうやって嬉しそうに目を細める君が、もうどうしようもなく愛おしいんだよ。
A「…さん、福良さん?」
福良「ん、?」
A「大丈夫ですか?お疲れですか?」
眉を下げて見上げてくるその頭に手を置いて、いつも通りぽんぽんと。
いつもならそのまま下ろす手で、今日はその目にかかっていたさらさらの前髪を避けた。
このくらいなら許してくれるかな。
福良「大丈夫だよ。資料ありがとうね」
A「ふふ、はい!」
ぱたぱたと踵を返してデスクに戻るAちゃん。
その途中でまた話しかけられてるのを見て、ちりりと胸がヒリついた。
…さっきは大人ぶったこと言っちゃったけど、
やっぱり順番待ち、出来そうにないなあ。
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イトタク - 初めまして、私は、izwさんとのハッピーエンドがいいです。小説、すごくいいです。更新、楽しみにしています。ゆっくりでいいです。 (2021年8月15日 22時) (レス) id: e586254f05 (このIDを非表示/違反報告)
満月(プロフ) - 初めまして!作者様が大変になり、途中で挫折してしまわれるくらいならiniさんで。もし、可能でしたら全員分読めたら…嬉しいです。 (2021年8月13日 21時) (レス) id: 3f82b6a714 (このIDを非表示/違反報告)
kk - 初めまして。この作品本当にキュンキュンしながら読ませていただいてます。私はiniさんエンドが見たいです!更新楽しみにしてます!頑張ってください♪ (2021年8月11日 0時) (レス) id: 9f03f88fd9 (このIDを非表示/違反報告)
のどか(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく拝読しております!!sgiさんエンド希望です!!続きの更新も楽しみにしています! (2021年8月10日 23時) (レス) id: 651585f874 (このIDを非表示/違反報告)
め - sgiさんがいいです! (2021年8月9日 15時) (レス) id: 2dc5815af2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきみ。 | 作成日時:2021年1月9日 18時