【QK】某頭脳集団には、実は秘蔵っ子がいるようで 2

約束の ページ13

乾｢Aちゃん、あげる｣

A｢あ！！｣

須貝｢はは、姫めちゃくちゃいい顔した笑｣


誕生日パーティ、と称されて開かれた会の終わり際。

乾くんが部屋からいそいそと出ていったと思ったら、大きなメンダコのぬいぐるみを抱えて戻ってきた。


乾｢約束したからね、今年の誕生日プレゼント｣

A｢ありがとう…！｣


受け取ったそれを抱きしめる。
あああ、可愛い。とてつもなく可愛い。

そして私の為にわざわざこれを買ってくれたことが嬉しい。


伊沢｢すげぇ嬉しそう笑｣

A｢ふふ、ふふふ笑｣

乾｢気に入った？｣

A｢うん、毎日一緒に寝る！｣


隣にぽすりと腰を下ろして顔を覗き込んできた乾くんに笑ってみせると、安心したような顔で頭を撫でられた。


乾｢そいつがいたらちゃんと眠れるよ、今日から｣

A｢うん。ありがとう、ほんとに｣





その日の帰り道、帰る方向が同じ伊沢さんと山本さんと、駅までの道を歩く。

21歳でぬいぐるみを抱えて歩くのは少しだけ恥ずかしかったけど、それ以上に嬉しさの方が勝っていた。


伊沢｢ほんとに気に入ってんね、それ｣

山本｢ね〜、かわいいもんね｣

A｢ふふ、うん｣

伊沢｢俺も今度何かあげるわ、誕生日プレゼント｣

山本｢僕もあげる！｣

A｢え、いや、あんな素敵な会開いてもらって、もう十分ですよ？ありがとうございました｣

伊沢｢いいの、俺たちがあげたいの｣

山本｢そうそう、カッコつけさせて？｣


そう言われて微笑む2人はなんだか今までと違って、大人の男の人の雰囲気だった。


駅に着くと、伊沢さん達はこれから飲みに行くという。
それじゃあ、と改めて今日のお礼を言ってから別れる。

改札を抜けたところで振り返ると、2人は来た道を引き返して行くところだった。


…何も言わず送ってくれたのか、私が帰り道1人にならないように。
気付いてしまえば、擽ったい気持ちになる。

どこまでも優しい彼らには、もう頭が上がらない。


今日の昼はあんなに重い気持ちで登ったホームの階段を、今はどこかふわふわした気持ちで下っていった。








伊沢｢…あんなに大事そうに抱えて、妬けるなあ、なんか｣

山本｢まだ決まってないですよ、むしろ今日が始まりですから｣

伊沢｢乾がエンジンかかってるからなぁ、俺も負けられんわ｣

山本｢僕だって負けませんよ？須貝さん達だってそうでしょ｣

伊沢｢ライバル多いな〜笑まあ、負ける気ないけど｣

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