【QK】某頭脳集団には、実は秘蔵っ子がいるようで 2

おかえり、陽だまり ページ12

？side


陽だまりが、僕らの元に帰ってきた。



皆で囲むテーブルのその真ん中で、少しだけ顔色が良くなった彼女が嬉しそうに笑う。
それを見て、周りが安心したように微笑む。


やっぱり彼女には笑顔が似合う。
その笑顔が、今は取り繕ったものではなくなったことがこんなにも嬉しい。



窓から見える道行く人々は、寒そうに身を縮こまらせながらも、肩を寄せ合って幸せそうに歩いていく。その手にはおそらく誕生日用ではないケーキの箱が握られていて。



まさしく彼女の誕生日に相応しい日付だ、と思う。
世界中の人々が、家族に、友人に、そして恋人に愛を伝える日。


そんな日に生まれた彼女は、どんなに苦しみながらも、涙さえも枯らすほどに辛い思いをしても、生きることを諦めなかった。


もう十分すぎるくらいに苦しんだ。苦しんで苦しんで苦しみ抜いて、そして今日、彼女は前に進み始めた。


だからそんな彼女を、今度は我々がめいっぱいの愛をもって余すことなく包み込むのだ。

これは、おそらく言葉にせずとも全員が思っていることで。



いつかはその笑顔も涙も、1番近くで見つめることは叶うだろうか、なんて考える。


A｢____、｣



彼女の声が僕の名前色に染まって、その暖かな空間に優しい響きをもって落とされる。

外の景色から目を離して視線をそちらに移す。

僕にとって大切な大切な女の子が、僕を真っ直ぐに見つめている。


｢うん、今行く｣



その空間には、まるで彼女を祝福するかのように、柔らかな日差しが差し込んでいた。



誕生日、おめでとう。

生まれてきてくれて、ありがとう。

出逢ってくれて、ありがとう。








ねえ、好きだよ。


これはまだ、面と向かっては言えないけれど。

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